365歩のデスマーチ


ですまーち

話題になっているらしい「デスマーチ」 という本がある. 部室に置いてあったので, 読んでみた. 前半はなかなか面白い.

人は, 何故実現不可能なプロジェクトに挑戦するのか? その理由は, 馬鹿だからだ! どんなに優秀な人物も, 全ての面において, 常に優秀なわけではない. 実際にはその逆で, 優秀な人物というのは, あるかぎられた面において, ごくたまに, その優秀さを発揮するにすぎないのである. そして, 他の面では, あるいは一日の大部分を, 普通 (あるいは それ以下) の馬鹿として過ごす. ここにデスマーチになるプロジェクトが発生する隙が生まれる.

なんていうあたりは, かなり笑った.

プロジェクトの分類もおかしい. 「海兵隊方式」:プロジェクトのマネージャは, プログラマに向かってこういう. 「真のプログラマは眠らない!」 そりゃウチの指導教官スギ. 「真の研究者は眠らないんだ. 徹夜で文献を読むんだ. 一日 18時間計算しろ. 研究以外の事は, 一切やらなくていい, てゆうかやるな.」 そうかー. ウチの研究室は, モーレツ型のデスマーチだね. これで学生の志気が高ければ, 「スパイ大作戦型」のデスマーチになるんだがねェ.

いや. ウチの研究室は, 学生の志気は高いですよ. 俺以外は.

ふふ. しかしなー. この本はちょっとプログラム開発のデスマーチを 特殊な事情だと思いすぎだね. 一日 18時間労働なんか, 設計事務所じゃあ全然当り前スギ. 俺がバイトしてた「日」で始まって「建」でおわる 設計事務所なんか, 模型材料でベッド作ってる社員が居たもんね.

あと, デスマーチなのはマンガ, アニメ業界でしょう. 手塚アニメなんか, スゲかったらしいじゃないすか. それから一時期の少年ジャンプ. あれに比べりゃヰンドウヅ2k なんか知れてるって.

これはゲームなのでプログラム開発ですが, ゲーム方面もスゲエようです. 後輩が 「セ」と「ガ」のつく会社に居て, 某スズキ部長の部下なんですが, 「ウチは自滅型のデスマーチですね. マネージャもプログラマも, 全員, 徹夜で, しかも 全員, 失敗すると思いながらやってますから.」マネージャというのは 某スズキカリスマ のことではない.

あと, 大学の研究室ってのは密かにデスマーチの宝庫なのだ. 特に, ウチの学校はデスマーチの宝庫だ. 「研究室に比べりゃ会社の方がなんぼかマシです」ってやつを 何人も知ってるぞ. 何故か? 研究室ってのは, 儲からなくていいぶん, 無茶な事に手を出す. 教授は (そして多くの場合, 助手や大学院の学生も) 全員, 自分のことをスーパーマンで天才だと思っている. そして, そこら中に「最も困難な問題」が転がっている. しかも学生はタダで働く. 多くの場合, 東工大の研究室の学生部屋には, まんが, ゲーム機と炊事設備 (炊飯器と電子レンジ) があり, 寝床もある. そうして, 出来そうもない, 途方もないテーマの周辺を うろついているうちに卒業が訪れる (場合もある).


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