ダイアモンド展


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上野の科学博物館でダイアモンドをやってたので見に行く. 実質上, 2本だてってところが, なかなかナイス. 何の2本だてかというと, 科学と物欲の2本だてである.

科学というのは, ダイアモンドにまつわる科学いろいろで, ダイアモンドはどういう物質か, どこでとれるか, どうやって作られるか, 何に使われるか, などの話題.

物欲(笑)というのは, つまり, 百貨店の上の方のフロアの店頭みたいな感じである. お嬢様がた(元 も含む) は血圧上昇瞳孔拡大気合炸裂逆上確定であり, 鼻息が 250%増(当社比)で大変な騒ぎだった.

中野さんの研究なんかとも, ちょっと関係があるのかもなあ, などと思いながらダイアモンドの合成んところを見てました.

科学んところは,わりかし勉強になった. ダイアモンドは, 当然, 結晶なわけで, もっとも硬い物質とはいいつつ 方向によって微妙に硬さが違い, ヘキカイ(結晶構造などに原因する, 特定の方向に割れやすい性質)もあるという. 昔, ゴルゴがダイアモンドのヘキカイを利用して狙撃, 破壊したことがあったが, それである.

非金属は, 金属に比べて熱伝導性に欠けるが, これは 金属の自由電子が熱も伝えるかららしい. だから, なんとなく金属に比べると透明なもの(自由電子が無いから 電磁波と相互作用せずに, 透過させるのだ) は熱伝導性が悪い気がするが, なんとダイアモンドは常温で銅の4倍の熱伝導率である. シャアザクの比ではありませんな. 4倍ですよ.

なんでかというと, 強烈な共有結合が SP3 で4方向に伸びているので, 原子の熱振動が共有結合ごしに速攻で伝わるからである. ダイアモンドの強度がそのまま熱伝導率に直結しているわけですな. こういう伝わり方だから, 微妙な結晶構造のズレとか不純物とか 炭素同位体の比率などが熱伝導率に大きく影響するのだ. おもしろいですねえ.

ダイアモンドの透明さというのは, 強力無比な共有結合に由来するので, 大抵の電磁波は相互作用しない. 原子も小さい(炭素だからな)ので, X線なんかもよく通す. ガラスなんかが可視光線しか通さないのと えらい違いである. そのうえ, 猛烈な強度と科学的安定さを持っているので, 究極の窓になる. 惑星探査機の窓に使われたこともあるという.

透明で, よく熱を伝えるが, 絶縁, というのも特異な性質だ. なんとも面白い物質じゃのう. そのうえ, 不純物によっては半導体にもなるというから, なんつうか, まだまだ未知な用途がありそうじゃのう.

展覧会の構成はよく考えられていて, 展示が科学>物欲の順なのだ. これが逆だったら, 物欲関連の展示だけを見て, 難しいところはパス確定であろう. ちょうど鼻ヅラに人参をぶらさげられた馬みたいに (ってそれで馬が一生けんめい走るとも思えんが) オバさんも展示に必死で見入っているところがおもしろい.


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