わしのフォークを作った TIME というのはフランスの会社なんだが, petzl とかと同じく, 良い具合にフランスらしさがある. 斬新で, 明確なコンセプトがあり, そのコンセプトのためには セールスポイントを捨てることも辞さない割り切ったところと, けっこう保守的で堅実な作りのところがあって, 結果的に「とりあえずコレにしとけば間違いない」というものを 提供してくれる.
ヨーロッパの職人というとドイツとイタリアって感じですが, もちろん, フランスの職人もヤルときはやるのです. イタリア的に「手作業バンザイ」ではなく, 手を抜けるところは徹底的に抜くのがフランス流ですかね.
スキーの金具と自転車を両方作ってる, look も良い感じです. そういえば, こっちもカーボンが得意だ. ヘッドマークがモンドリアンのコンポジションってところが, なんともモダンですな. というか, 私の好みですな.
フランスのチャリ関係産業というと, あとは車輪の mavic すね. ここは非常にメジャーだし, Lance 様も使ってるわけですが, 私としては, あんまり良い印象無いす. フランス的手抜きは, ロードの車輪にはかなり具合悪い感じ. 車輪はイタリアが圧倒的に良い感じ. プロポーション, ディティール, そして仕上げに対する偏執が, 車輪の性能と耐久性とルックスには欠かせないのだが, これに関するイタリアの職人の情熱はスゲー.
また行った. こんどは, 妻と二人である. コースは前回とほぼ同じなのだが, 国道 141 は具合があんまり良くないので, 野辺山高原は裏道にした.
茅野を 9h20m に出発して, 峠に 11h40m に到着. 2h20m は前回と同じ タイム. 今回は, 峠の山小屋 (麦草ヒュッテ) でソバが食えた. 前回は食えなかったのだ. ただ, 蕎麦ごときでは自転車乗って失われるエネルギーには全然足りないので, 行動食を積極的に食って行かないと走り続けることはできない. 出発前に持っていたクッキーは, 峠を下るともう無くなった. 峠のてっぺんで記念撮影. 妻は寒くて, キレそうになってて参った.
クッキーばっかり食ってると口がまずくなるので, 妻はオニギリなんかも食ってみたり.
峠を下って国道に出る前も, 前回とは違った道を行ってみた. 沢に歩行者専用の吊橋がかかってるのを渡ったりする道で, かなり楽しい. 渡ったところが, いつも冬に八ヶ岳 (八ヶ岳なんか, 冬しか行ったことない) を縦走して本沢温泉から下山してきたときに通る道だった. 雪山の帰りは荷物も重くて, その状態で下界を歩くのは最悪の気分だが, その同じ道をロードですいーっと数分で通り抜けるのは 若干歪んだ快楽がある.
141 はすぐに走り終わって, 野辺山高原に登る手前で左に折れて村の中に入る. 佐久ひろせ, 川上村方面だ. 途中, 道に迷って村の子供に道を訊いたりしつつ, 川平という村落に出た. 隠れ家的に静かで, こりゃ良いところだ.
大蔵峠ってのを登る. 150m くらい? 妻には予期せぬ峠でしんどかったようだ. 道は悪くなくて, 車もほとんど通らないし, 良いところなのだが.
千曲川を渡って小海線ぞいに坂を登って野辺山高原へ. これまでの林の中の道から一転, 野菜畑の中の一本道を走る. 非常に良い感じのコースなのだが, これをブチ壊しにする ナイスな事件発生. 野菜に農薬を散布していたんだけど, その霧が道路にかかってて, 俺は眼をつぶって息を止めて通ったけど 妻はうっかり毒を吸ってしまい, 「げほごほ, ぼえー」. 「これが高原野菜のハラワタか!」
野辺山駅の手前の踏みきりを渡る時に, 電波天文台のアンテナが見えた. 線路の先に白いパラボラアンテナ. なんとも, すげー良い感じ.
駅前の土産ものやでアイスクリームを食った. アイスクリームを売ってるおばさんに, 天文台への道を訊いて, 電波天文台に行く.
野辺山峠の, 国鉄最高点の石碑で観光客的に記念撮影. 最後の登りを登って八ヶ岳公園道路へ. 二人ともヘロヘロになって, なんとか出口の料金所までたどりついた. 14h 40m . 前回よりも 1時間遅い. 走行距離が 20km 長いので, まあ, こんなもんでしょう.
例によって例のフロに入って, さあ, 着替えようと思ってがっかり. 着替えのシャツを忘れて来ちまった! なんてこった! 電車は 18h46m のあずさ. 禁煙の自由席にうまく座れて帰宅. 今回はかなり疲れた.
フィルム 2本ほど写真を撮ったので, 現像する. 一本めはカラーネガで, 俺の鼻が曲がってる時と, 整復手術で直ってからを撮影したり, 自転車の修理の模様なんかを記録したもの. もう一本はさきの妻といった八ヶ岳で, こっちはカラーリバーサルフィルム.
カラーネガは当日にできあがるので, これを受け取って なんとなく(笑) ユキリンへ行ったら, 社長がわしをネタにチームの皆と盛り上がってるところだった. 「で, 嫁さんにヘルメット被りなさい, って言われて買って行ったんだよ」 と社長が言ったところに本人が登場. 「鼻, まっすぐじゃん」と言われる. ええ, まっすぐですとも! ははは.
鼻曲がり状態のは, 妻が撮ってくれたんだけど, 何故かピンボケ. 手術してからのも, 同じようにピンボケ. 全然曲がってるのが判らん. なんてこった! どうなってんだ! このカメラ, オートフォーカスじゃねえのか! ま, 一眼レフじゃないから, どこに焦点が合ってるのか判らんわけで, 実は, コンパクトカメラってのは一眼レフよりも難しいのう. うちのコンパクトカメラは, まだ本体上部の液晶に 合焦距離が表示されるので, それを確認すれば 「いくらなんでもこの距離はねえだろ」っていう間違いは正せるのだが, それでもけっこう面倒だ. 距離がファインダ内部に表示されてくれると良いんだが.
自転車の修理の模様は, 定盤の上にフレームが乗ってたり, あとかたもなく部品とフレームに分解されてたり, フォークが 完全に曲がってたりするのがきっちり記録されてる. ちゃんと走れるように直った今にしてみれば, なかなか良い感じ.
チームユキリンにはいろんな人が居て, 自転車マニアという人も何人か居る. もう, スゲーのに乗ってるわけです. マニアといってもいろんなタイプがあるので, スゲーといっても いろんな風にスゲーわけで, colnago 何台も持ってるとか, フレンチロードとか, イタリアの大手メーカーの高級モデルを OEM してたりする下請け工房の, 聞いたこともないマイナーなブランドの オーダーフレームとか.
その中で, チタン/カーボン系のスゲーのに乗ってる人が居るのですが, なんと, この日, その比類無きスゲー自転車が盗難に遭ってしまったのです. そりゃもうスゲー自転車で, 普通のアルミや鉄でできてるところがほとんど 無いのです, 金属部分といえばチタン, そうじゃないところはカーボン, みたいな. メインパーツは campagnolo の RECORD だから, ブレーキレバーやらリアメカはカーボン. サドル, シートピラー, クランク, ホイールがカーボンで, フレーム, ハンドルステム, 各種シャフトはチタン. 特にフレームのチタンは凄まじくて, 鏡面仕上げのピッカピカ (これだけで, 詳しい人ならフレームの銘柄が判りますね?).
盗まれたいきさつは, トイレに乗って行き, 自転車にカギをかけずに入って ウンコして, ついしゃがんだままケータイでメールを見て, 出て来たら消えていたというもの. すぐにチーム員全員で捜したが, ダメだったそうだ.
いやー. 日曜の大井埠頭って, あらゆる意味でスゲーんですよ. 人数も沢山走ってるし, ものすごい自転車が走ってる. colnago なんかザラで, ほんと, 雑誌でしか見たこと無いような強烈なのが 居るんですよ. ディスクホイールで「ごわわごわわ」とかゆわしてたりして. これだけ集まってれば, 狙われるでしょう. ハッチバックとかワンボックス車に自転車を積んで来てる奴も多いから, そういう感じでちょいと盗んで積んで走って行ったら, マジで判らないでしょう. 同じような感じで, レース会場とかも危ないらしい. 自転車店の店頭も危ないという.
多分, そういう連中には普通のカギは無力なんだろうな.
わしのチャリは, 客観的には箸にも棒にもかからないボロクソで, 今回盗まれたスゴいのと比較するだけアホらしいようなものなのだが, それで安心はできん. 事実, わしはこいつを大いに気に入って乗ってるわけだから, 他にも「価値がある」と考える奴が居る可能性はある. 事故と盗難は, 自分だけは無縁だと思わない方が良い.
とりあえず, ネットで売りに出されるのを cron でチェックするか.