前ブレーキをどっちがわにすべきか, なんてことを俺に訊かれても困るのである.
たしかに, 部品は左手を前ブレーキに繋ぐように作られている. しかし, 昔の, ワイヤがレバーから上にびょーんと伸びてるデザインの レバーならまだしも, 最近の部品ではどっちをどっちに繋いでも 機能上も美観上も, 本質的な違いが出るわけでもない. ように思う. 昔の部品は, 右手を前ブレーキにすると, ワイヤの取り回しが お話しにならないくらいダサくなったものだけどね.
俺は昔から乗っているので, ロードは左手が前ブレーキという乗物だと 信じている. しかし, こういった信念はどっちかというと個人的なもののように 思えるのだ. どっちかというと, というのは, 左手を前にする理由というものも 無いこともないからだ.
長距離を乗ると, 走りながらいろんなことをやるものだ. 変速とか, 食事とか. そんなとき, どうしても右手を使う. 特に, デュアルコントロールレバーを使う場合, 後ろ変速は右手と決まってしまう. ロードは前ブレーキと後ろブレーキで利きが全然違うので (それはモーターサイクルでも同じであろう) 左手を前ブレーキから放さずに済む安心感がある.
今中ダイスケ氏も, そんなようなことをどこかの本に書いていた. もっとも, 彼も「既に右が前に慣れてしまったのなら, 敢えて左を前にする必要もない」という感じで, わしと似たスタンスである.
ブレーキかけながら変速というのも, 左を前にしておくと簡単だ. もっとも, そんなテクニックを使うべき高度なレースに出たことは無いのだが.
とはいえ, 俺が左手を前ブレーキにするようになった理由は, そういう技術的な観点からのものではない. 単に, ジュラエースのブレーキセットを買って来たら, 左手を前ブレーキに繋がないとワイヤの流れがおかしくて具合が悪かったからである. そこで, 改めて「サイクルスポーツ」に掲載されている写真などを見て, おお. 実はロードって左手が前ブレーキなんだ, って気づいたのだ. で, 中学生ですから当然, 「これはイカン! 左手を前にして練習せねう゛ぁ!」と なるわけです. なんせ, 男子中学生ですから.
今は左を前に希望してやまない俺だが, 最初からそうだったわけではない. ジュラエースのブレーキは雨でもよく利いたが, ブレーキシューは「ゴム」と呼ぶのが憚られるくらい硬くて, それなりの制動力を得るにはそれなりの握力が必要だった. レバーも毛唐のデカい手に合わせて作られていたと思う. 非力な中学生にはこれを使いこなすのはなかなか厳しくて, ただでさえ握力の弱い左手が前ブレーキなのは辛かった. 「左手が前なのはすげぇ具合が悪いぜ」と思ったものだ.
レバーにエディの遺伝子が入ってて穴が空いてるんだけど, この穴に左手の指がめりこんですげぇ痛くてね. 当時使っていたタイヤもチューブレスの酷い製品(*)で, おかげで峠の下りなんかはおっかないロクでもないものであった.
なんせ, こういういきさつだから, たとえ多少の技術的な根拠があったとしても, 「左を前ブレーキにしなさい! 喝!」とは言えないわけです. そんなわけで, 人に訊かれたらいつも「好きなようにすればいい」 と答えているわけさ.
ヨーロッパで活動していたプロ選手で右手を前ブレーキにしていたのは, 俺が捜した中では唯一人, ルイス.ヘレラ だけであった. 彼はひょっとすると左利きなのかもしれない. 知ってる? ルイス ヘレラ. コロンビア人のヒルクライマー.
関係ないが, 今のブレーキは性能も設計も凄く良いから, 小柄な人や非力な人も, 中学生の俺が味わったような難儀を味わわなくて済むので 具合がよろしい. ちなみに, 妻のロードは右手が前だ. 右手を前に組んだのは, そのまえに乗ってたツーリング車に合わせた社長の判断. つまり, 慣れと好みを優先するのが正解. 妻にどっちが好みか訊いてみたら, 「どっちが前ブレーキか, なんて考えたこともない」 という答えに大脱力. わはは. 俺が今乗っているロードは 2台とも左が前ブレーキだ.
あと, 昔, 非力だったころは, 携帯ポンプで細いタイヤに空気を入れるというのが 絶望的に辛かった. 今だって簡単じゃないが, 今使っているポンプはけっこうスグレで そんなに大変じゃないし, 圧力計も付いている. 昔は silca のプラスチックの長い奴しか無かった. シートチューブに沿って付ける奴. これが, 油断すると空気がすぐ逆流してきて, ポンプのピストンがシリンダのフタごと発射されちゃうわけですよ. 「ずばん! びょよーんん. ドカッ!」って感じで. 最後のドカッは 壁に当たる音だ. もちろん, ポンプは壊れるわけだけど, ピストンを戻して気を付ければ普通に使えるんだよね.
そういうことを考えると, 今のロードは素晴らしく進歩して良い乗物になった. 軽いし速いし快適でしかも使いやすい. 昔の自転車も悪くないが, ジュラエースでレースに出るなんて, 最初から勝負を捨ててるとしか思えない. それに比べると, ブレーキレバーの左右なんて瑣末な事に思えるのである. アルミフレームに手元変速でカーボンフォーク, なんて自転車があたりまえな 人達には実感無いかもしれんがな.
しかしながら, ブレーキ右左の問題は, 一旦気になるとどうしょうもなく気になってしまう, というものでもあるみたいである. 先日も一緒に走りに行ったヒロセさんに どっちにすべきか訊かれました. うむー. で, この文章となった次第である.
そうだ. これからはこう答えよう. 「どっちにするか迷ったら, 利き腕じゃないほうを前にしとけ」
今までは, 付けるかどうか人間が決めてたのを サブタイトルに勝手に "A" tag が付くようにした. href 文字列は時刻から生成.
今使ってるホイールは重い. とは言わんが, あんまり軽くないようだ. 先日輪行したとき車輪外したら, ぎょっとするほど軽かった. フレームと部品だけになったら, 凄ぇよ. これ.
というわけで, 軽いホイール, どうしようかな. だ. チューブラーの決戦用.
トーストにあんこ載せて食うのは, 名古屋では全く一般的な食事で, 喫茶店などに常備してあるそうです.
そのバリエーションとして, ホイップクリームを載せたものも 存在するそうです.
(*) Wolber の「リバティ」というやつだ. チューブラーのパンク修理が素人にもなんとか可能だったのがこれだ. へんてこな接着材みたいのを注射するんだ. ちょっとしたコツを掴めば, 小さい穴ならちゃんと修理できた. 中学生にチューブラータイヤの使い捨てなんか経済的に不可能に決まってるだろ!
これが, 19c(笑) のとんでもねぇ細いタイヤで, しかもクッション最悪. 当然, グリップも最悪で, マジでどうしょうもないタイヤだった. 今の, veloflex のコーナリング性能を 100 とすると, 3 くらい.