オーバーホール


手バナ

走行中に手バナ。 こりゃ便利だな。 チリ紙とか要らないんだもんね。

コツは、飛ばす方向を顔の向きでコントロールしてやること。 妻も、直ちに習得し、得意になって「ビシュ」っとハナジルを横方向に飛ばしておる。 さすがである。

なおこの技は、廣瀬さんに録画してもらった Giro d'Italia の のビデオのなかで Julio Perez Cuapio が、 アタックで独走しつつ「ビシュ」っとやってるのをみて おぼえたものである。

レースシーズン終了

シーズン終了につき、 11/4 は乗らず、 一日かけて全バラシして整備する。 すなわち、

以上はベアリング掃除とグリスアップ。 それに、

である。 納車から約一年。 走行距離は、 8000km くらい。 そのほとんどを普段乗り用の車輪である proton で走った。

車輪

まず、練習用の proton をグリスアップする。 構造の簡単な前輪から。

カムパニョロのハブは、 整備に特殊な工具を一切必要としない。 5mm の六角レンチ2本と スパナ(モンキー)一本があれば、 リアハブも最後まで分解することができる。

カムパニョロのハブは非常によくできた構造で、 整備性、性能、信頼性、軽量化を高いところでバランスさせている。 構造が昔のクイックハブとはだいぶ異なるので、 分解してて面白い。 まず、中空シャフトだが、この太さが10mm以上あり、 材料はアルミ。 しかもマジで大胆に中空で、 中空の穴は両端が 5mm のアレンキー穴になっている。 この穴にアレンキーを差し込んで、中空シャフト自体を分解すると、 ベアリングコーンを中空シャフトから抜いてベアリング玉を取り出すことができる。 ベアリングコーンは昔は本当に円錐形をしてたものだが、 今のカムパのハブでは 綺麗に研磨されて焼き入れされた特殊鋼の薄いリングになってしまっているのだ。

ベアリングも、昔は玉がバラで入ってたものだが、 今は樹脂製のリテーナーで保持されている。 そして、ベアリングのカップもコーンも、 玉が当たる面の曲率がベアリング玉の曲率に非常に近いものになっていて、 設計からしていかにも耐久性が高そうだ。

構造も斬新だが、 その精度も凄いぞ。 ヨーロッパの製造業の底力を見た。

次にリアハブを分解する。 これが驚いた事に、 シャフト抜いたらフリーボディーごと抜けちゃうんだよ。 レバー側のコーンを抜いたらベアリングが分解できるというのは同じなんだけど、 つまり、フリーボディーを抜いたら、いきなりラチェットのツメが丸出しになるわけだ。 しかも、ラチェット機構はフリーボデー内部にあるんじゃなくて、 ツメはボディー側にあるんだけど、歯車はハブ本体側にある。

ベアリングだけバラすつもりだったのに、いきなりフリーのラチェットまで見えちゃったので、 ぎょっとした。 それにしても、ずいぶんラチェットが表の方にあるんだな。 外部とラチェットの間には、フリボデーに付いてる樹脂製のコンタクトシール一つがあるきりだ。 これで大丈夫なのか? というか、 いまいちダメな感じである。 まぁ、わりと簡単にラチェットを分解して掃除できるのは、 それはそれで良い事なのかもしれないが、 ラチェットとフリー側のベアリングは かなりドロドロになっておった。 約 8000km でこれだ。 スプロケをフリーに付けたまま掃除するのはやめた方がよさげだ。

フリーボデーはラチェットの下と、フリーボディーの外側にシールドベアリングが一つづつあり、 これらシールドベアリングによって中空シャフトから保持されている。 これによって、漕ぎ入れた時や脚を逆転した時に必要な、 フリーボディーと中空シャフトの間の回転が実現されている。 これらベアリングの外側はコンタクトシールがあるが、内側には無い。 カムパのスプロケが付くフリーボディーはグリス穴があって、 ここからグリスを注入するとシールドベアリングのコンタクトシールの無い側から グリスがベアリングに供給されるわけだ。 シマノ版のフリーボデーにはグリス穴が無いので、関係ないんだけど。

ベアリングやラチェットを掃除して finish line のテフロングリスを盛って、 再び組み立てた。 構造が全然見慣れないわけだが、 知らないくせに分解しちゃったとしても 詳細なマニュアルが付属しているので、 これに従って作業すれば、基本的に問題無いのである。 ただし、イタリア、英語、フランス、ドイツ、オランダ、スペイン語のページはあるくせに、日本語の解説は無い。 俺はそれで全然構わないわけだが、 ちょっとムカつくな。ナメんなよ。カムパ。

クランク軸

けっこう雨のレースもあったりしたので、 クランク軸もバラしてみることにした。

クランク軸は DURA-ACE であり、 BB-7700 である。 軸からクランクアームを抜くのに必要な工具は 8mm アレンキーのみ。 クランク抜きは必要無い。 8mm アレンキーをフィキシングボルトにつっこんで、 アレンキーには長いスチールのパイプを差し込んで、 思いきり体重をかける。 グリグリまわすとクランクが抜けて来た。 クランクと軸のカン合は昔ながらのコッタレステーパーじゃなくて、 8つのスプラインが噛み合う設計。

アームを外したら、左のロックリングをゆるめ、 シャフトをフレームに固定しているベアリングカップを、 専用工具で抜く。 右ワンは JIS なので逆ネジ。 こっちもロックリング回しで抜くと、BB軸が抜けた。

うわ! BB シェルには赤サビの粉が堆積しておりますよ。 わはは。

さて、クランク軸のベアリングも分解掃除しますかね。 ってことで、何気なくカップからシャフトを抜いてみた。 シャフトは SNCM (ニッケル クローム モリブデン鋼)の中空パイプですよ。 俺としては、チタンのムクで在来型のテーパーシャフトを作り、 これにシールドベアリングをハメたりするよりも、 SNCM で中空シャフト、これで調整可能なベアリングを作る方がカッコイイと思う んだけど、どうよ?

ベアリングの構成は、シャフト両端にローラベアリング、その脇にボールベアリングである。 この設計のおかげで、実際上この軸は、ベアリングは錆びたりしないかぎり、 何万キロも放置可能な信頼性を誇る。 ただし、ベアリングをバラすと玉とローラーがバラバラに転び出てしまい、 元に戻すのがわりと大変。 このへんの、性能だけ考えてメカニックの事を全然考えてない作りは是非なんとかしていただきたい。 それとも、結局このBB軸は使い捨てなのか? それにしちゃ念の入った分解可能な作りなのが謎だな。

ボールベアリングのベアリングコーンは、SNCMのシャフトと別体で、 コーンだけ外れる。 このはめあわせが、また、素晴らしい精度。 このBB軸の設計、性能、精度は 日本の製造業が到達した極点の一つである。

右ワンとシャフトをフレームに固定してから左ワンを入れ、 ここでベアリング調整。 といっても、どこが正解なのか、よくわかんね。 両端のローラーベアリングのせいで、 緩めてもガタなんか出ないんだもんよ。 キツくなったところから若干緩めてロックリングで固定。 まぁ、実際のところ、この調整もそんな本質的なものではない。 玉当たりが調整されるのは、ボールベアリングの方なのだが、 こっちはシャフトが左右に揺れないように保持しているだけなのであり、 踏み込みの荷重を主に受ける(つまり、クランク軸の回転に関わっている)のは軸両端のローラーベアリングだからな。

クランクを軸にとりつける。 四角テーパ時代なら間違えないが、 微妙に(笑)1/8周ズレちゃう可能性があるので、よくみながら組み立てる。 この方式は非常に優れており、 テーパシャフトとちがって、何度も抜き差ししたらどんどん奥に行ったりすることはないし、 クランクが緩んでもそれでテーパーが壊れたりすることもない。 今回、初めてクランクを抜いたにも関わらず、 チェーンラインは全く変化しておらず、前変速機の調整は一切しないまま、 分解前と全く同じ設定、操作感に仕上った。 これは、在来方式のクランクからすると、ちょっと信じがたいことだ。

ヘッド

ヘッドは保守的なマニヤに評判の悪いインテグラルヘッド。

ステムを抜いて、 前ブレーキをフォークから外し、 フレームからフォークを抜く。 すると、フレームのヘッドチューブにシールドベアリングが二つはまっている。 しかし、これだけでフォークが抜けるところがすげぇや。 必要な工具は5mm と 4mm のアレンキーだけですよ。

ヘッドチューブ内部とベアリングの形状でステアリングコラムを保持するので、 ベアリングは素手で簡単にヘッドチューブから抜ける。

ベアリングは、使用時は荷重がかかるとコンタクトシールが有効になるが、 そうじゃないとすき間があいてるので、 そこから掃除してグリスを注入。 そしてヘッドを組み立てる。 ベアリングの調整も 5mm アレンキー一本でいっちょあがりである。

その他消耗品

ワイヤも交換。 ブレーキワイヤとか切れたら洒落にならんけぇのう。 ついでにアウターも交換した。

シフトワイヤは 例によってテフロンコーディングされてるやつを投入。

最後にバーテープを巻き直して出来上がり。 bike ribbon のバーテープは非常に具合が良いのだが、 巻くのにけっこうコツと力が必要。

ふぅ。 朝 9時から始めて、 夕方 6時まで丸一日やってました。 マジ疲れた。

試合用の車輪である eurus と、 自分で組んだ山岳用の formula20 は、 ほとんど乗ってないので今回はなし。 ただし、 eurus は先日、なんとなく乗ってて右足をホイールに巻き込んで振れが出ちゃったので、 少し振れ取りをした。 偏平スポークなので、これをモンキーレンチでつまみながら、 リムテープを外してタイヤ面側からボックスレンチを突っ込んで 内蔵ニップルをまわす。 あー。こりゃ大変だわ。マジで。 さすが決戦用。 整備性は最低ですな。 平坦は、この車輪以外で走るの、マジでヤなんだけど、しょうがない。 普段乗るの絶対やめとこ。

仕上げ

に泥とかを拭いて、フレームにワックスかけてやった。 これで、をたく力がイッキに高まる感じ。

自転車の塗装ってここまで美しい必要あるのか?

みっひー

そのむかし、ミッヒー様の口の動きについて 解説した記事を書いた事があるが、 こういうことを考えるのはワシだけじゃないらしい。 西原理恵子のまんがをみてたら、同じような事がかいてあった。


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