製造業におけるゲルマン魂


tail light

後ろの発光ダイオードのフラッシャを買って来た。 いままで、普通の反射板をシートステイにつけてたんだけど、 なんか飽きて。

sigma の製品で、ダイオードとかいう小型のやつ。 カッコイイ。 ロードレーサーのミニマリズムを violate しない (日本語訳がでてこぬ。すまぬ。) モダンで無駄の無いサイズと造形。

赤レンズにドイツ語のシールがついてるんだ。 なんか変だと思ったら、なんと、 こりゃおどろき。ドイツ製ですよ。 うひひ。

むむむむむ! さすがドイツ人。 こんなもんをここまで作り込むか?普通。 って感じの作りです。 まず、裏蓋がネジどめ。 こんなの普通、ツメだろ、ツメ。 しかも、ナット側が、エンプラに直接ネジが立ててあるのではなく、 真鍮のナットが埋めてある。 そこまでやるか、普通。 たかがちゃりんこのテールランプだぜ。

きわめつけは、これ、 なんと、 蓋は、四角なんだが、その四隅のネジ穴をきれいによけるように、 パッキン(爆笑)がついてるんです。 つまり、完全防水構造なんですよ!

こんなもんをいちいち完全防水構造にしないと気が済まないとは、 さすがドイツ人。 普通じゃないね。

ドイツ連邦政府お墨付きの製品である。 なんでも、ドイツは自転車の安全対策にやかましいようで、 ちゃんとしたテールランプがついてないと走っちゃいけないらしいのでな。 ドイツ連邦政府の役人は何でも防水にするのが好きなので、 お墨つきを貰うための規定として定められているのやも知れぬ。 ほら、タイガー戦車も、完全防水でシュノーケル出して潜水して川を渡れるように なってたじゃないですか。技術者はやりたくなかったけど、 軍の要請でそうなったという。 なんでもいいけど、イタリヤの手仕事とはまた異なる、良いものをみせてもらったよ。 末長く愛用させて頂く事としよう。

実際、日本に居ると、日本製と台湾製と中国製以外の電気製品を買うのは 意識しないとけっこう難しい。 うちにある、その一族以外の電気製品といったら、 電話(デンマークだっけ? B&O の昔のやつ) とこのテールランプ、探検で使うヘッドランプ(フランスの petzl)くらいのものだ。

日本製でもナイスな電気製品はあるぞ。 うちにあるやつで言えば、 DEC の HiNote Ultra だ。 しかも、今も現役。

ギレン

ギレンというのは、スペインではよくある名前のようである。

スペインのレースを見てると、 ギレンが登りでアタックしてたりして、 そのあと集団からチギレてたりして、 市川に「あー、ギレンはちょっと厳しくなってますねー。」 とか言われたりしてて、 しまいにはギレンがグラナダを走ってたりして(!!)、 けっこうびびる。 だって、そうでしょう。 ギレンですよ、ギレン。 総帥ですよ。

「我々は、一つのステージを失った。 しかし、 これは敗北を意味するのか? 否! はじまりなのだ!」 とかいって、演説とかは、してなかったが。 「インデュラインの尻尾の走りっぷりを御覧下さい」とかも言ってなかったが。 当り前だが。

総帥は、あの体格からすれば、 オールラウンダだな。 TT も強そうだし。 それに、なんせあの性格だ。 まさにエースにぴったりだろ。

チャリ雑誌

あまりのヘタレっぷりにこれまで烈しく馬鹿にしていた Bicycle NAVI を買って来た。 堺市の特集がおもしろかったのでな。

この雑誌は、 脳味噌まで筋肉が詰まってる感じの、レース万歳スポーツ馬鹿的方向性とは ちょっと違う、自転車文化アハーン?みたいなコンセプトである。 自転車と文化って一体何だろな。 よくわかんねぇよな。 けっこうな量の記事を編集部自前で生産していて、 それがどうしょうもなくへたくそな文章で、これで文化もねぇよな、って印象だが。 でもたしかに、他の雑誌には文化のカケラも無いことは自明である。 ファンライドには、今月もわしらが優勝んとこに載ってるが、 毎月リザルト欄だけで買うわけにもいかんだろ。

まぁようするに、自転車ってのは、たとえ競走しなくとも、 あるていど距離(むしろ、時間か)を乗らないことには何にも判らないわけですよ。 特に、専門誌に出て来るような高級な自転車では、 その用途に合った使い方というのがあるわけで、 MTB なら未舗装路をグリグリ走り回り、 ロードなら峠を二つ三つまとめて乗ったりしないことには、 お話にならない。 やれ文化だ機材だテクニックだとうるさげな事をいったところで、 先立つもの、すなわち運動能力が無い事にはどうしょうもないわけですな。 しかしながら、それを言ってしまうと終っちゃうので、 こういうのもアリなのかもしれぬ。 特に、折り畳み自転車方面には、比較的よく適合する路線ではなかろうか。

しかしながら、折り畳み自転車ってのはいいぞ。 これはいい。 自転車で散歩ってのは遠くまで行けるので、いい。 また、都心の車ゲロゲロ地帯は電車でパスできるのが良い。 自転車なので 10km やそこらは楽勝だから、 最寄り駅でなくても利用可能だしな。 こりゃ文化の極みだね。 要するに、暇な時間をクリエイティブに自転車で潰せることが、 自転車の文化、ということであろう。 別に体力なんか無くたって、十分豊かな文化を築くことが可能な場合もあるということだな。

ドしろうとをつかまえてきて、ロードに載せてみて、 「うひー、こりゃすげぇ!めちゃ速ぇ!尻いてぇ!」 ばかりではお話にならないが、 今月号ではなかなか有意義な方向性を見出したと言えるかも知れぬ。

2003/01/23

雨。 しかも寒い。

いま、ひとさまのためにコードを書いている。 長い人生のなかで、ひとさまのためにコードを書くのは、 実はこれが初めての経験だ。 これまでは自分の道楽のためだったり、 自分の成績のためだったり、だったからな。

これもなかなかいいもんだよ。

島野工業

俺が最初に乗ったロードレーサーには、 島野工業(現シマノ)製の部品、 DURA-ACE EX というのがついていた。 フレームは、当然ラグ組みの鉄。 エンドとフォークにはメッキが入っていた。 後ろのギアは 6枚で、ブレーキレバーは、触角みたいにワイヤがびよーんと 上に伸びてるやつである。 ベルナール イノーがまだ現役バリバリで、 ツールで 2勝目をあげたところだった。

当時は、ロードの部品といえばカムパニョロ。 スーパーレコードというのが全盛の時代であった。 DURA-ACE なんか使ってるプロチームはほとんど無かった。 唯一、オランダだかベルギーだかに、シマノの部品を使っている奇特なチームがあったように思う。

当時は日本にはサンツァーというブランドがあり、 そこが作る製品も 変速性能、精度、仕上げの美しさなどが非常に優れていた。 どちらも、変速性能ではカムパニョロを上回っており、 特に、山岳なんかでワイドなギアを使うと、 その差は顕著であった。 だが、東京オリンピックで日本の選手に国産の自転車に乗せようという 計画が噸座して全員チネリとカムパの自転車に乗らざるをえなかったという トラウマはむしろメーカーというよりユーザーの側に非常に深く残り、 実際の性能はどうあれ、部品はカムパにとどめをさす、 というのが当然の常識なのだった。

実はDURA-ACE EX はなかなかの完成度で、 その名の通り、耐久性にも非常に優れていた。 なんせ、ウチでは今も現役である。 日々の通勤でクランク、変速レバー、 ブレーキレバーとアーチ、ステムが今も生き残って活躍中である。 前後変速機、前後スプロケット、リアハブ、BBは死んだが。

世界選手権

世界選手権ロード、男子エリートの試合の廣瀬さんが録画してくれたのを 見ました。

いやー。すげぇすね。 凄すぎます。

何が凄いかって、そりゃ、エリートの、つまり、世界最高カテゴリの選手たちが、 ほとんど全員ヘルメットかぶっており、ヘルメットじゃないやつは カスクかぶっており、 しかも、いきなりスタートから全開、さらに落車しまくり。 つまり、わしら日本のホビーレーサーみたいなのだ。 いわゆる一つの「必死だな」ってやつである。

普通、向こうのレースでは、勝負どころ以外ではけっこうまったり走ってるものなんだけど、 とにかく最初から最後まで、ずっとカカリっぱなしなのである。 コースはド平坦なのに。 そして、直線と直角コーナーしかないのに。 とにかくずっとアタックかかりっぱなしで、 先頭は全開で引きまくりなので、展開もクソもない。 ただひたすら、異様な緊張だけが最初から最後まで支配している試合であった。

最後の30kmぐらい、イタリアチームがずっと 60km/hで引きまくる。 他のチームのエースをこの高速で全部潰す作戦だ。 60km/h の集団からアタックかけるとなると、 80km/h ぐらい欲しいところだが、そんなスピード出るわけないよな。 下りじゃあるまいし。 当然ながら、アタックしても、単に集団の先頭を引いてるだけになっちゃうわけです。 それでも、アタックはやみません。

無理なのは判ってるのに、アタックがやまない、ってところが壮絶です。 Museeuw もアタックしました。しかし、キッチリと Bettini がマークしており、 速攻で反応して逃しません。 こういう、露骨に速攻で反応する、ってのも、普通のレースでは見られない展開ですな。 こうして、他のチームのエースは全て潰れました。 完全な勝ちパターンにはまり、 Mario がブッチギリで勝った。 おくればせながら、 Mario はおめでとう、だ。


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