自宅で仕事。
いままでヱブ関連の経験といったら、 多少サーバの設定をいじったことがあるくらい。 cgi を書いた事はおろか、 使った事もない、 つまり経験ゼロの状態から、 DB の検索と編集をする webアプリケーションらしきものを一週間で作成してみた。
やってる仕事自体はつまんねーもんなんですがね。 それでも新しい事を憶えるのはけっこう楽しいもんですな。 いっぱいこういう仕事に関する本が出てますが、 そんなの一切必要無く、 説明もツールも全部ネットワークから取って来れますな。 楽勝です。 サーバもクライアントも全部いっぺんに同じマシンで動くところも楽勝です。
よし。ユーザの諸々の設定が一個のクキーに収まった。 何かをクキーに入れる時は、 何かで encode しろってのは、 ヱブ関係のプログラミングでは常識なんでしょうか。 多分そうなんでしょうな。 しかし、この php ってのは、 プログラミングの楽しみという点では最低の部類だな。 や、 これは LISP が最高だと仮定すると、の話なんで笑って流せ。
今日も自宅で仕事。
最近はチャリと冬山にはまっている私ですが、 そのまえはコンピュータに、 そのまえはゲームに、そしてそのまえはナイフにハマっておりました。
ナイフにハマるって、一体何がどうなることを言うのかというと、 これはチャリともちょっと近い状況でして、 ナイフを所持する事自体が楽しくてしょうがない人と、 よく切れて使いやすいものを使いたい、という人があります。 後者は通常はナイフにハマったりはしないのですが、 たまに「作る」のが好きな人なんか居て、 そういう人はそれなりにハマります。
自転車もナイフも使う奴次第ってところは一緒ですが、 モノにもピンからキリまである、ってところも一緒ですな。 無論、良いナイフとは、折れず、曲らず、よく切れ、いつまでも切れるものを言うわけです。 そして、ナイフの性能は、要するに、材料と熱処理で決まるのです。
ここが自転車と大きく違うところですね! 通常、店でナイフを買って来たら、それでおしまい。 もう材料も熱処理も自分ではいじれません。 性能をいじりたかったら、完全自作しかないわけです。 ところが、たかがナイフといえども、完全自作の道は平坦ではありません。 作り方の本なんかもあったりしたわけですが(今でもあるのかな?) なんせ、キモは材料と熱処理です。 そんなところまで押えた書籍は、さすがに無い。
幸い、当時は学生だったのであり、しかも学校が目黒の某工業大学だったので、 図書館にはその手の本がかなり充実しているわけでして、 これを利用しない手はない。 わしらは 鉄鋼材料の本を何冊か借りて来て、 熱処理と様々な鉄鋼材料について調べた。 わしらというのは、要するに当時美術部だった人々である。 相当まじめに調べた。 多分、鉄鋼材料の授業の単位取れるくらいは勉強したと思われる。
その結果判った事は、要するに、通常の切削用の材料としては、 高速度工具鋼がもっとも優れた材料であり、 これの熱処理は、それなりの設備が無いと不可能だということであった。 なんてこった、ガーン!
材料を自分で作るのは無理としてもさ、せめて熱処理くらい自分でやりたいじゃん。 しかし、これも無理! これが判った時、わしらはかな〜り落胆しましたね。 それまで散々 SKS材 (低合金の工具用炭素鋼) を使って 部室前の広場の焚火で焼き入れして遊んでたんで、 余計がっかりしたよ。
しかし、そんなことで、我々はへこたれないのである。 優秀なエンジニアの語彙には 「無理」「不可能」という単語は含まれないのである。 判ったような面さげて「無理でしょう」とかぬかす奴を見ると、 「てめぇ、それでも理系か!」 とぶっとばしたくなるよ。おっと、話がずれた。
タウンページで元住吉の熱処理業者 「不二越冶金工業」を探して来たのは、両角氏である。 そう、俺達にはタウンページがあるじゃないか! 材料も、「金属材料」んところを見たら、 いっぱいソレ系の店がある。 近所の店に電話して、「SKH51の板材ありますか?」。
なーんだ。品川区、太田区近辺で、金属材料で揃わない物なんか無いよ。 自分でできない処理は専門家に任せりゃいいのさ。 専門家も幾らでも居るのさ。 加工業者もたくさん居るぜ。 自分でできない加工は頼めばいいんだ。 こりゃ自動小銃だってできちゃうな。 もっとも、太田区の職人はみんな詳しいから、 既存の閉鎖機構だと銃の部品だって判っちゃうけどね。
というわけで、材料は買って来て、熱処理は業者に頼むから、 自分がやるのは加工と組み立てだけでいいわけだ。
では、ナイフの作り方を簡単に紹介しよう。
専門の業者に頼みに行くってのが、 実際これまた面白いんですよ。 みんな職人で専門家ですからね、 こっちがそれなりに勉強して解ってるのがると判ると、 「よくぞ訊いてくれました」ってな感じで訊いてない事まで教えてくれる。 そんな話をしてるうちに、友達になってしまうこともけっこうあり、 ステンレスの鍔の放電加工の料金がタダになったりもした。 高橋焼き入れのヤスマサ氏とは特に親しい。 海、山、川と一緒にあちこち一緒に遊びにいったもんである。
これで、市販のナイフが削れちゃう、火であぶっても焼きがナマらない、 普通のものを切ってれば永遠に研がなくていいナイフが手に入るわけだ。 さぁ、君もやってみよう! やってみると判るが、形を考えるところが一番大変だ。
おっと。そうそう、タウンページ以外に、東急ハンヅもなかなか侮れないぞ。 特に、彫金関係のフロアのスタッフは手強い。 俺は、渋谷本店の4階Cフロアで鍔の材料を漁っていた。 鍔を熱処理時にニッケル蝋で刃にローづけする予定だったからだ。 高速度鋼の焼き入れ温度は、1190度くらいである。 真鍮や洋白は、みんなこの温度じゃ融けてしまうので使えない。 そこで、スタッフのおっさんに訊いてみた。
「1200度くらいまで融けない金属材料で加工しやすいものって 何がありますか?」
おっさん、一瞬考えたあと、俺の方を向いてニヤリとしつつ
「ナイフか…」