オーバホールとか (2003/11/15)


2003/11/15

昨日から、自転車の全面的整備にかかってます。

昨日はチェーンを交換し、決戦ホイールについてるスプロケを洗い、 後ろ変速機を修理した。 チェーンはちょうどギア一山ぶん伸びていた。 プレートがハデに削れてしまった前変速機も、なんとか入手。

後ろ変速機は、第二テンションボルト(フレームに変速機を取り付ける ネジ)が曲がった疑いがあったので、 通勤号の RD-77 (そうなんだ。通勤号のリアメカは RD-7700 なのさ)を外して、 そこからボルトを抜き、決戦号のリアメカに移植。

くみたててみたら、意外と普通に動作するぞ。 肉眼では、エンドの曲がったのは判らなかったが、 これで普通に動作しているので、とりあえず使ってみよう。

今日は、友達と深大寺でソバ食ったあと、魔窟系自転車店の最高峰、 ハセガワ自転車商会で、御宝を漁る。 superbe pro の直付け前メカを買う。 1500円。 コーフーでバーテープ(バイクリボンのやつ)を買った。1000円。 3000円のハセガワの皮テープをうっかり買わなくて正解だった。 帰りに雨が降った。

けっこうな降りで、帰ろうかな、と思ったが 雨がやみそうな感じだったので、ユキリンで BB の整備をすることにした。 当然だが、雨でも乗りまくりの一年だったので、バラすのは非常に大変だった。 錆びてるから。 BB まわし工具(孫の手みたいな形のやつ)をひっかけて、足で踏んでようやくバラせた。

BB 抜いたら、そこは wonder land である。ぎゃはは。 前回は、錆びがちょいと降り積もっていただけだが、今回降り積もっていたのは、なんと、

砂!

砂ですよ!

BB に砂!

沖縄の砂!

ツールド沖縄おそるべし、である。 新品の BB の在庫が無いので、しょうがなくこいつを分解掃除して使うことにする。 ベアリングをバラす。

分解は簡単だ。 9段 DURA-ACEのBBは、 できあいのベアリングを使ったのでは軽量化に限界があるので、 専用の分解可能なベアリングであり、異常な設計。 分解可能なのは軽量化のためであり、 グリスアップして使い続けるためではない。 その証拠に、ボールレース以外は全部アルミ。 ロックリングもアルミ。 当然、何度も使うとヘタります。 俺のもオーバホールはこれで2度めであり、次は無い、って感じ。

というよりむしろ、このBBを2度もオーバホールして使ってるのはわりと奇特な事ではないだろうか。

今回は、シャフトにもローラーベアリングにも錆びで傷が入っていた。 多分そんなことだろうと思ったので、 交換するつもりだったが、例によって9段DURA-ACEの部品は全然在庫がなくて、 難儀する。 無ければしょうがなく、分解して掃除したあと再び組み立てるしかあるまい。 そして、新しいのが手に入った時点で交換しよう。

いーやーしかし、このBBは組み立てるのが大変ですよ。ホントに。参りました。

  1. シャフトにベアリングホルダの樹脂を通す
  2. グリスを盛る
  3. ベアリングを載せる
  4. ボールレースにベアリングが乗ったシャフトを通す。 これでベアリングが組み上がった状態でボールレースに残る。
  5. ボールレースにベアリングのストッパ(C字状の細い樹脂の部品。破損注意) をはめる
  6. これを左右両側で行う
  7. 右ワンにシャフトを通し、にウォーターシールを取り付けた状態で、BBシェルに通す
  8. 左ワンもBBシェルに入れる
  9. 右ワンはしっかり締めて固定。JISだと右は逆ネジだ。
  10. 右シャフトにシールの蓋(樹脂製)を通す。
  11. 右クランク取り付け。 BB-7700 はベアリング調整が必要だ。 ところが、玉アタリが出たかどうかは、 クランクが付いてないと判らない。調整は左ワンを回して行うので、 右クランクだけを調整のために取り付けておく。
  12. 左ワンにロックリングをはめ、左ワンを回してアタリを出す。
  13. ロックリングを締め込む
  14. 左シャフトにシールの蓋を通す
  15. 左クランク取り付けて完成。オクタリンクだからな、 45度間違えんようにな。

それから、妻のペダルクリートと俺のウィンドブレーカを買った。 ウィンドブレーカはアデダス。

シュバーブとジュラエース

俺様の通勤号は、古き良き80年代の臭いたちこめる、 うさんくさい脱力系ロードレーサーである。 こいつは、 最新マシン及びスペック大好きのヲタク共や、 海外製品ひたすら盲目的に崇拝のエンスーオヤジには全く低い評価であるが、 これはこれで一つの完成した、いわばわしらの世代にとってのビンテージものとしての 存在意義がある、俺なりの名車なのである。

メインとなる部品は、かつては2代目 DURA-ACE すなわち DURA-ACE EX であった。 こいつのフルセットで組んだのが俺様の初代ロードレーサであり、 そりゃもう自慢の逸品だったぜ。

しかしながら、後ろ変速機はヘタリ、前変速機はフレームが変わって取り付けられなくなり、 BB はベアリング損傷し、クランクはポジションの変化により長さが足りなくなって、 残ったのはブレーキセットのみである。 もっとも、クランクは例の長谷川自転車商会で同モデルの 170mm の新品を発見してこれを使用中である。

それに代わって、ハブは旧シマノ600に、現行低グレード品の 7速カセットフリーを 無理矢理くっつけてエンド幅を 126mm に調整したものに、 8速時代の DURA-ACE のスプロケット 12-23 から ロー側23Tを抜いての 7速となり、チェーンもそれに合わせて 8速用 HGチェーンとなった。

また、後ろ変速機はヘタった RD-7200 にかえて当時の現行機 RD-7700 を投入。 これにより、驚くべきコギの軽さと変速スピードとなって、「ああ、今の部品で組んだ ロードに乗りたいなぁ」という漠然とした夢を抱くようにはなったりしたものである。 フレームが折れたので、新しく買ったフレームが前メカ直付だったので、 FD-7200も取り付ける事が出来ず、こちらも当時の現行 FD-7700 に切り替わった。

フロントチェンリングも摩耗しきっており、全く変速しない(笑)状況だったので、 スギノの赤いチェンリングを投入。これには変則ピンが打ってあり、 現行 DURA-ACE並とまでは言わぬが、とりあえずある程度踏みながらでも変速可能になった。

これにより、一見古いロード風であるが、駆動系は実はインデクス時代の製品で揃ったために、 変速性能は現行並である。 つまり、オーバーストロークなどの意味不明なテクニックは一切不要である。 フリクションレバーを必要なだけ引けば、いや、必要なだけ引かずとも途中でスパっと変速してくれる。 その性能たるや、圧倒的。 昔からは考えられない。

ところが、若干の不満無しとしないのである。 なんせ 7700 である。ほぼ現行品である。台無しとは言わぬまでも、 全体の雰囲気からすると、あまりよろしくない。

そこで、今回、性能を犠牲にせずに、それ風の部品で統一してみた。

まず、前メカは今は亡き前田工業のトップレンジ製品、 superbe pro の直付品。

これは、当時、シマノの DURA-ACE とタメを張ったロード用部品の最高峰である。 前田工業は自転車マニアの集合体であり、 その製品は非常に優れたものだった。機能と耐久性に優れ、 かつ、デザインのセンスもよく、しかも仕上げも美しかった。 俺は、自転車を再開した最初の頃は、新しい自転車は国産オーダーフレームに superbe で組もうと漠然と妄想していたのである。

なお、前田工業は10年ほどまえに倒産し、 superbe は今は存在しない。

後ろ変速機は、島野工業がイタリアの最高の自転車部品メーカ campagnolo 社を完全に過去のものとしてしまった画期的製品 7400系 DURA-ACE である。

現在のロード用部品のルーツの全てがここ 7400系 DURA-ACE にある。 デュアルピボットブレーキ、手元変速とインデックス機構、スプロケットの歯先加工と アレンジの工夫による変速性能の向上、 変速ピンを埋め込んだフロントチェンリング、 リターンスプリングを組み込んだブレーキレバー、 ブレーキシューの縦長プロフィール。

今回付けた部品は、二つとも島野工業と前田工業の二社が、 最強のロード部品という地位をめぐってまさに激突していた時期の製品である。

前変速機の変速性能はまさにすばらしいの一言。 ひとによっては、未だにこれを超える性能の前変速機は存在しない、とまで言い切るという逸品だ。 しかもデザインもカッコイイ。まるで 80年代のスーパーカーのように角ばってて、 斜めの平面を基調とした意匠が萌える。

当然、作り込みも異常である。パンタグラフ基部のアルミブロックは、 フレーム直付台座ブロックとは別体となっており、二つのブロックは シートチューブ方向に伸びるボルトで連結されている。 これにより、フレームに変速機をしっかり取り付けて高さを調整した後に、 羽の振り角を入念に調整できるようになっているのである。 超絶の変速性能も、この調整機構があればこそであろう。

一方、後ろ変速機は RD-7410。こちらも異常な作り込みである。 パンタグラフのリターンスプリングの強度は調整可能となっている。 操作部分は内パンタの下面に存在し、強、弱を切替える事が出来る。 それから、変速ケーブルの固定部は締めるボルトがそのままワイヤをくわえこむ 現行品のような手抜き(?)ではなく、 締め込むボルトとワイヤ固定部は別体である。 こうして、ボルトを回転してもワイヤ固定部は共回りしないようになっている。 ワイヤ固定部がパンタの外に出ているため、 これを締めるボルトは、なんとパンタグラフの内側に存在し、 若干整備しにくい配置となっている。 そこまでして共回りを防ぐ必要があるのか?

いずれにせよ、このために工具が入り込むための逃げなどが パンタグラフ部材に切ってあり、 DURA-ACE のロゴの塗装の懲り具合とあいまって、 トップレンジの製品として妥協無き作り込みを感じさせる。 はっきりいって、 ツール 4.5 連覇 RD-7700 など足元にも及ばぬ懲り具合である。

この頃の日本製部品を愛でる、というジャンルが、 自転車趣味に存在しても全くおかしくないのであるが、 なぜ存在しないのであろうか。 そのくせ、 campagnolo と名がつけば、クソみたいなやっつけ製品もありがたがる、 と来る。 まぁどうでもいいや。おかげでいろいろと安く手に入るし、 気兼ねなく使えて助かるよ。


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