金返せ!作戦その1


それは 1本の電話から始まった. 12/12 土曜. わしは 9時半頃起きて, 10時までデータ通信し, それから, wget した朝日新聞の記事を見ていた. すると, 清水(まさ)が電話をかけてきた. 清水は俺んちの近所に住んでおり, けっこう行き来があるのだ.

「今日, ちょっと物欲が高まって来たんで, アキバいくんすけど, 何か予定あります?」 今週はどっか氷でも登りに行きたかったのだが, 予定が合うやつも居らず, 嫁さんは仕事とかねぼけたことぬかしやがってたんで, まったく 渡りに船とはこのことである. 実は, わしも最近計算機関係の物欲が結構高まっているのだ. というのは, わしの環境はかなり古いのだが, あんまりキてるんで, 最近コンパイルできないプログラムがけっこうあるのだ. しかし, どうせなら, でかいドライブに入れ換えたりしたいところである. それに, 新しいマウスも欲しかった. というわけで, わしもアキバにいくことになったのである.

ボーナスとかが出た週末なので, そりゃもう凄い事になっているであろうと 思いつつ出かけたわけだが, 昼頃は, 普通に混んでいた. ただ, プリンタが, 主力商品というかんじで, つまり, 年賀状関連商品の 宣伝が凄いのである.

シミズの目当ての機種は, 雑誌の発表では 11日, すなわち昨日発売のはずであっ たが, 大手量販店ではどこも 19日になっていた. 見本はあったが, どうもタマ 数が揃わなかったらしい.

しかし, 一旦勢いのついた物欲を引っ込めるのは並大抵ではない. シミズが考慮している機種は他にもあり, そいつが実物をいじってみると, なかなかの完成度であることも判明したりして, 目当ての機種もないのに, なぜか 2人で銀行に行って実弾仕込んで来るしまつ. もう, その時は「買うしか無いでしょう」 という態勢. 「購入は不可避!」とも言うか.

ちなみに, わしは, その勢いをそのまま保ち, 小型の光学マウスを買った. まあ, これは こっちの記事 に書いたので, ここでは触れない. 俺が, 速攻で箱を開けて装着し, ぐりぐりポインタを動かして喜んでいると, 清水もやにわに注文票を掴んでレジに向かった. これは, 一般に「物欲共鳴現象」として知られており, 近くに居る人間が物欲を 高まらせたり, 満たしたりすると, 自分も必要以上に物欲が高まってしまう現象 である.

そして, レジにて.

清水:これ, お願いします.
店員1:はい, ありがとうございます.
店員1:これでございますね. (と, 箱を持って来る)
清水:そうです. それでですね. OS は要らないんですけど.
店員1:は?(凍り付く)
清水:いや, だから, OS は, もう持っているから要らないんです.
店員1:(不正な処理により, 一般保護エラーを起こす)
店員2:はい. えー, OS なしモデルをお求めですか.
わし:いや, そうじゃなくて, そんなモデルが無い事は知ってます. 彼は, もう OS のライセンスを 1個持っているので, もう要らないのです.
店員2: そう言われましても, OS 無しのモデルというのはありませんので. .
わし:いや, 実はですね. マイクロソフトの使用許諾契約というのを見ると, 契約事項に同意出来ない場合, 未使用製品の代金の返還は, pc製造業者に 速やかにおたづね下さい, と書いてあるんですよ. 彼は, すでにライセンスを持っているわけですから, 使用許諾契約を結ぶ必要は 無く, したがって, 代金を返還してもらう権利があるわけです. しかしですね. 使っていないという証拠が無いと, 代金を返してもらえないわけ ですよ. で, 使ってない証拠というのは具体的にどうやって示すかというとです ね. 買う時に店頭で宣言するしかないわけです. (これに関しては, この記事を参照)
店員2:はあ. そうなんですか. それは勉強になりました. でもですねえ. うちと しましては, 一体どうすれば良いのか. . . (店員1, レジ閉鎖の看板を出す. ) メーカーに聞いてみるといっても, 今日は土曜で休みだし. (といいつつマイク ロソフトのカスタマー サービスに電話する. 土曜でやってない. ) ちょっと現時点ではわからないですね.
清水:一体, 幾らくらいになるんですかね. OS というのは. 2万くらいはするんでしょう. 2万あれば, ちょうどメモリ買えますよね.
店員2:そう. . . ですね.
わし:2万はでかいべなあ. わしらの払った 2万が, わけのわかんねえ裁判の弁 護士の給料とかになっちまうんだぜ. 絶対納得行かねえよな.
店員2:そうですねえ. (苦笑い). とにかく, 今日はどうしょうもないわけですから, 月曜にでも当方でお調べいたしまして, 御連絡差し上げるという形でよろしいで しょうか.
清水:ええ, けっこうです. (といって phs の電話番号を書類に書く)
店員2: いやあああ. こんなのは, ほんとに初めてのケースですんで.

というわけで, プレインストールモデルから, 「ま」と「と」がつく会社の製品 を排除して購入する作戦は始まったばかりである.

ソフトウェアの使用許諾契約というのは, つまり, 簡単に言えば, 契約条項に 違反しない限り, 無期限で, そのプログラムをユーザが借りていられるというも のだ. ユーザが製品を買い取るということは, その製品に関する一切の権利がユー ザのものになるということだが, プログラムではそれは何を意味するかと言う と, 例えばソースコードその他も一切合財権利を手放すということだ. したがって, 通常の工業製品と同じような売買の形態ではプログラムは 流通できないというわけだ.

というわけで, プログラムを使う場合は, 賃貸契約じみた契約を結んで, ユーザ が使用することになるわけだ. その契約の内容たるや, 悲惨なものなのだが, そ れについてはここで論じる余裕は無い. ここで問題になっているのは, つまり, パソコン本体を買うという事と, OS の使用許諾契約を締結するということは, 全然別個の法的な出来事だということだ.

Mac を買う人には, そういう問題は生じない. ザウルスもそうであろう. これらは, プログラムも含めて一体化した製品として存在しており, 「俺は G3 買うが, OS 8.5は要らねえ」などというのは, 「本体は買うが, 電源ボタンは要らん」と主張するのと同じで, 全くナンセンスである. 何故か. それは, ハードウェアもプログラムも同じ会社が作っているからだ. しかし, AT 互換機は違う. プログラムを作っている会社とハードウェアを作っ ている会社は別だ. だから, プログラムを作っている会社は, その権利を完全に 保有したままで, メーカを通じてユーザに貸し出すわけである.

つまり, ユーザはマイクロソフトと契約を結ぶのであって, 東芝とか sony とか は, ゐんどうず に関しては何の関係も無い. しかし, PCの価格は ゐんどうず の使用許 諾契約を結んだ場合のものになっている. それゆえ, 契約を結ばない場合はユーザはそのぶんの 金を返してもうという話も出て来る.

それができないということは, 常識的に考えて, おかしいのである. だってそうでしょう, 契約しないのに, 金だけは払うのか? 多分法律から考えてもおかしいであろう.

問題は, どこが金を返してくれるのか?ということである. これは, 常識的に考えればマイクロソフトである. しかし, 契約書には PC メーカに言えと書いてある. このへんは, やや判りにくく, また, 金返せ闘争において, もっとも重大な争点 になるものと思われる. だがしかし, 「契約を結ばない自由が存在しない」ということになれば, これは大変な事だ. なんせ, コンピュータを買うという行為は, ハードウェアメー カとの売買契約でしかなく, マイクロソフトは何の関係も無い. また, ハードメーカが OS その他について何の権利もない事は言うまでもない. だから, OS を使うということと, ハードを買うという事は, 完全に独立した 法的事象なのである.

というわけで物欲を, すっかり金返せ闘争の方に逸らされた清水は, 現金何十万円かを下ろしたまま, ブツを一切買う事もなく, そこらじゅうを年賀状プリンタを持ってうろうろしている奴が居る中, わしは ばいお の風船とかを駅前でもらいつつ, 異常に混雑した秋葉原駅から 二人して帰って来たのでした.

さあて, どうなるでしょう. うっしっし. 次回に御期待下さい.