こないだ友達のところで飲んでたら, 電車がなくなった. うちの駅まで行く電車はもう無くて, 学校の近所の雪谷大塚というところまで行 く電車しか無かった. しょうがないのでそこまで乗って, あとは歩いて帰れば いいや, と思い, 雪ヶ谷大塚で下りたらいきなり！
駅前に葬式屋があって, 表に天気図が貼り出してある. なんじゃこりゃ？こりゃかなりわけがわからん. どこかで「天気図の舘」というものが存在し, 毎日デタラメの天気図を張り出す 家があるとかないとかいう記事を読んだことがあるが, ソレなんでしょうか. 天気図自体は, 100%デタラメのものだったかどうか, ちょっとわからんのである が.
それで思い出したが, うちの近所にはわりかし電波物件があるのだ.
まえの家の近所には, 風車をたくさん置いてある質屋があった. どういうふうにおいてあるのかというと, 道から見える庭に, 道に向かって大小さまざまな, プラスチックのカラフルな風 車がさしてあるのだ.
風車はどれも昔からあるあのタイプで, 風力発電に使うようなのとか, プロペラ型とかそいういうのは一切無い. 赤やピンクのプラスチックフィルムで できた, アレだ. 庭は, 静かで綺麗な和風の庭園だった.
風車はどれも道路の方を向いており, 数は50本くらいかな. もっとあったかも. 時折吹く風にクルクル回り, とてもサイコだ. あの風車は, 道から発射される毒電波をはねかえすものにちがいない.
ゴミ屋敷は非常に有名だそうで, テレビの取材なんかもかなり頻繁に来てたとい うが, 俺はみたことが無い. 知っている人も居るだろうが, 太田区の条例だか何だかで, ゴミ屋敷のゴミは撤 去され, 今は消滅してしまった. 1年くらいまえのことだろうか.
ゴミ屋敷は, 多分この辺ではブッチギリの強力電波源だったろう. 今はゴミも無くなってしまったが, 美術部に訪れる客をもてなす 重要な観光スポットだった. 宴会がまったりしてきた 午前 2時頃, 「じゃあゴミ屋敷でも, 見に行くか」 とかいって, でかけるのだ. なんせ, 学校から徒歩5分じゃからのう. マジで近所にあんな強力電波源があるという.
ゴミ屋敷の主はゴミババである. ゴミババは, 女性だ. ゴミ屋敷を構築したのは100%彼女の力である. ややバグっており, いろいろアレな噂があった. 今ではゴミは撤去されてしまい, ゴミババも居なくなってしまったが, いったいどこに行ってしまったのかのう.
幸いというか禍というか, 家から学校まで歩いて帰るときにちょっと寄り道す ればゴミ屋敷の前を通ることになっていた. 月に一度は通りかかっていたような気がするな. 何度かカメラ持っていって写真も撮ったが, 写真はどこに行ってしまったのかな. わしが観察していたのは, せいぜい 3年か 4年ほどだがそのあいだにもゴミは増 加の一途をたどっていた. うず高くゴミが重なっていたのが今は全く消滅しているので, 一体どこが出入口になっていたのか今では判んないのだが, 当時は道路から屋敷本体へ, ゴミの山をラッセルされたルートがつけられており, ルートの両側面は連休に開通した黒部アルペンルートみたいにゴミの壁ができて いた. ゴミ雪崩 という恐ろしい用語が頭の片隅をかすめるのをどうしようもなかったものだ.
そのうち, ゴミ雪崩が何度かあったのか無かったのか, 単にルート自体もゴミの 置き場所に転換されてしまったのか, わかんないのであるが, いつしかルートの傾斜が徐々につよくなってきて, ゴミ滑落 が発生しかねない, あるいは実際に発生したのかもしれない. ようするに, かなり歩きにくい状態になっていたのだろう, いつしか, ルートにはナイロンロープで fix されたアルミ梯子が設置され, ルート工作 されているのだった.
ゴミ屋敷を発見したときの衝撃は, 忘れられない. その日はいつもは通らない道をあるいて学校にでかけるところだった. 雨が降っていて, わしは傘をさしていた. ゴミ屋敷は, 大井町線のすぐ近く, 坂を下りたところに存在している. その近所はちょっとした住宅街で, みんなけっこう綺麗な家に住んでいるのだ. わしは, 大井町線沿いにあるいていたところ, 坂の下に, 産業廃棄物処理施設 みたいなものを発見した. 「おお, こんな住宅街によくこういうものを作れたな」 と思いつつ歩いていると, 何かおかしいことに気づいた. わ！電波物件だ！
しかも, その直後に本体を発見した. ゴミババである. ゴミババはコンビニのビニー ル袋に詰めたゴミを両手で大切そうに捧げ持っており, おりからの雨で近所の雨 樋から流れ出る水で, そのゴミを洗浄？しているところだった. その服装は, 下着のみ. それでもまだ慎み深い方で, しゃがんでいるところをうっかり後ろから目 撃し, 観音様を拝んでしまった奴も居る. なーむー.
その後, いろんなメディアにとりあげられたりしたそうだが, 俺はテレビを見ないのでわからない. GON！ というしょうもない雑誌に時々ゴ ミ屋敷の記事がのっていたな. ゴミババに直撃インタビューしている記事もあっ た. 家の中もゴミで一杯なのである. これは, 屋敷を良く見ればわかるのであり, 窓の上の方までゴミが埋め尽くしている. あれでは, 天井とゴミの間を甫這前進するしかないだろう.
洗濯物を沢山つりさげられる, 洗濯バサミがいっぱいついた装置(ありゃなんて いうんだ？)があるが, アレが軒から下がっており, 律義に洗濯バサミに一つづつコン ビニの袋に詰まったゴミがぶら下がっていたのを, 今も思い出すのだ.
ゴミ屋敷は夏になると結構臭かったが, あのゴミの量にしては臭くなかった. そのままゴミを集めたら, あの量ではとても近寄れるものではないはずで, 50m 先からゲロ確定のはず. つまりゴミババは, ただゴミを集めているのではなく何か目的があったわけだ. それにしたがって集めた結果であろう. それはさきの, コンビニの袋を雨樋の水で洗っていたところからも判る. 噂では, 彼女は「自分にも判らない大切なもの」をさがしてゴミをあつめていたという が, 大切なものは見付かったのだろうか.