移動するコンピュータと固定されたコンピュータ


わしも, 今はノートパソコンの他に, 自宅に据え置きが一個あり, それやこれやをつないで, 自宅ネットワークを作っている. 据え置きは, バックアップマシンとして作ったもので, 普段はたまに, 自分のホー ムディレクトリを nfs で mount して, バックアップをとったりするのに使うだ けで, あとは ip-masquerade のルータと mp3 のエンコーダとして使っていた. そうそう. 自宅の `zabi' ドメインのネームサーバとしても活躍しているなあ. 外に接続している時は, forward によるキャッシュサーバであり, 接続してないときは, 自宅ネットのプライマリだ.

しかし, じっくり考えてみると, 据え置きマシンは, メインで使っているノート なんか, 全然かなわない spec を持っているのである. ドライブも CPU も, 全然速いし, メモリも倍以上搭載している. 特に, 要らないピッケルと K6 を交換してからというもの, そのパフォーマンス は圧倒的なものとなっている. こんなものをファイルサーバとルータとしてしか使ってないというのは非常にもっ たいない話だ. せっかくだから, ばしばし使える環境を整備してやろうと思い, 普段ノートで主に使っている環境を, 据え置きでも整備してみた.

実は, 俺はいままでノートパソコンしか使ったことがないのである. 最初に買ったのは, 東芝の J-3100 だった. 次に, 友達に 98ノートをもらった. それから, DEC のノートパソコンを 2つ買った. これが, わしのパソコン遍歴の全てだ. 全部ノートパソコンだ. 据え置きを私物としてじっくり使うのは今回が初めてだ. こういう経緯を経てこのたび, ひとつじっくりと, 自分が使うための道具として, 据え置き型計算機というものを使ってみたのである.

据え置きを作って思うのは, まず, ノートに比べて設定が楽だということだ. 引っ越ししないかぎり設定を変更することなんか無いので, とりあえず動きさえすれば, なんでもいい. これに対して 移動するコンピュータは, ネットワークその他の設定が超絶にめんどくさい. DHCP 使えば良いじゃん, と思うあなたは甘い. ノートに立てたサーバというの が, これがなかなか便利なんですよ. サーバの IP アドレスが毎回違うのは, めちゃくちゃ不便なんですよ(*). それに, DHCP を使うとしても, DHCP クライアントをわざわざインストールしないといけないわけですよ. しかし, 据え置きはそんな問題を考える必要は全然無い. 据え置き計算機にディスクドライブが ( つまり, 論理的な, ファイルシステムのノードで はなく, 物理装置が ) 増えたり減ったりすることは無いし, さっきまで存在していたネットワーク・インターフェースが, たった今から消滅する, ということも無い. これは, OS としてとても楽チンなことである. つうか, 現行の IP は移動する計算機のことなんか何も考えてない.

設定は楽だが, 使い勝手はちょっとな. なんせ, 置いたところまで行かない と使えない. まあ当然なのだが. 計算機のところまで, わざわざ出向いて使うというのは, 計算機は自分の行くところについて来るものだという習慣に完全に染まっている わしには, かなり腹だたしい. 思うに, 据え置きマシンに改造を重ね, パフォーマンスを追求し, 机や部屋を占 拠され, 計算機に貼り付いてディスプレイに向かう, というのは, もう, パソコンの在り方としては許されない事である. まるきり, 世界が計算機を中心にして廻っておる. ユーザは, 計算機のメンテナン ス・スタッフではないのだよ. メインフレームじゃあるまいし.

cpu-centered way これはその昔, 世界の中心に演算装置が存在していると考えられていた時代に, 計算機科学者が描いた地図. 「中央演算装置」という用語の語源がここにある ことは, 言うまでもない. この当時も, 地図の中心に人間を描いたユーザは居た, しかし, そういう人は 「るーと」と呼ばれる特殊技能者にアカウントを剥奪されたうえ, CPU ゲジゲジ の刑に処せられた. CPU ゲジゲジの刑とは, ソケットから抜いたばかりの CPU の足の方を頬に押しつけて, 顔にゲジゲジのあとを付けられたうえ, i486 の命令セットを暗記させられるという恐ろしい処罰である.

しかし, 据え置き(ホスト名を `みちろう'という)は, うちに存在する計算機の中ではもっとも安価なくせに, そのパフォーマンスは, ブッチギリに高い. もっとも, これは値段だけでは 計れないのであり, 普通に雇ったとすれば, そこらへんの最高級マシンや, あ るいはPC 以外の計算機を値引き無しで買えるほどのノウハウとマンパワーを (それに, 部品も)専門家の友達たちから供給され, あるいはネットワークから仕入れ, 更には自分で勉強したからこそ, 4万円でこんな計算機が作れたわけである. いずれにせよこいつが, 俺がもっている計算機のなかで, いちばん速くてメモリも沢山ついているのだ.

ノートパソコンでは, 「これはちょっと重たくて厳しいなあ」というプログラムも, みちろうでは全くストレス無く使える. ここに, 解決すべき問題が生じる. すなわち, みちろうのスピードを, ノートで何とか実現できないのか? という問題である. あるいは, ノートの便利さを何とかみちろうに付加したい, とも言える. そして, これに対する答えも既に用意されている. それはネットワークだ.

こんな問題は, X ならインストールした瞬間に, 既に解決されている. 「お, こいつは重たいから, K6 だ」と思った瞬間, ssh で接続し, X のコネクションを forward させればいい. こんな使い方は, UNIX 以外でできるのかどうか, 不幸にして私は他の OS をほ とんど知らんので判らないのであるが(**), unix で一般的な X window system と いうのは, そもそもこういう使い方を念頭に置いて作られたのである. リモート ホストで起動したプログラムが, 手元のマシンの画面に表示されている. その上をポインタが移動すると, 嵐のようにインターネットのパケットが発生するのを tcpdump(8) で見る ことができる. マウスポインタの位置を, リモート ホストに送信しているのだ. たまんねえ! やっぱ UNIX は, 最高にかっこいいぜ.

こんな説明では X を使った人でないと皆目見当がつかぬかもしれぬ. 要するに, unix では, よその計算機を インターネット越しに操作できるのである. 手元の計算機は, 画面さえ描ければいい. 巨大なメモリ, ディスク, あるいは 高速な演算装置は, インターネットで繋がった 別の計算機に存在すればいいのだ.

ネットワークさえあれば, 固定されている計算機資源も移動先で使える. こうして, めでたく人間中心の幸せな計算機生活がやってくる.

カツオのタタキ

初カツオの季節らしい. 近所の魚屋でカツオを買って来て, タタキにして食った. うまかった. ただ, 食いすぎて苦しい. それから, ナマニンニクが効きまくり, 全く寝られん.

作り方は簡単だ.

  1. 醤油, 酒, しょうがおろし, ニンニクおろし, すだち(あるいは, ゆず), を好きなように混ぜる
  2. カツオの身に串を縦にぶっさす.
  3. カツオの身が完全に浸る氷水を用意する.
  4. 直火でぶわー!と焼く. 表面が焦げるくらい.
  5. 焼いたら, 氷水で冷やす.
  6. 十分氷水で冷えたら取り出し, 水気をタオル等で取り除き, 1cm厚くらい に切る.
  7. でかい皿に, 重ならないように切ったのを並べ, タレをぶっかける.
  8. 青シソと刻みネギもぶっかける.
あとは, 食うだけだ. 焼き加減は, 焼いた部分にタレを染み込ませられるように, しっかり焼くのが重要だ. したがって, 巷の, ほとんどがナマで 2mmほど焼けてるタタキは勘違いの インチキである. 焼いたら, 芯をナマにしておき, 熱がそれ以上中に伝わらないように, 氷水に漬ける. サブンと.


(*) ネームサーバのデータベースを DHCP と連係して update する ことは不可能ではないが, 誰にでも簡単にできるわけではない. 各サーバの設定で, 固定された IPアドレスを前提としているものは, けっこうある. 現行の IP廻りというのは, 少なくともサービスを提供する側の IPアドレスは, 一定であるという前提の下に設計されているのである.

(**) vnc を使えば, cross-platform でグラフィック環境を共有可能である. りんご, ゐんどうず, X でそれぞれ相互にデスクトップを操作可能だ. しかし, やってみたことのある人がどれくらいあるのか知らないが, これはとにかく重い. 特に, vnc の窓の中でスクリーンセーバが動いているのと か, 最高にウザい. しかも打鍵はタレ流しだから(モニタして確かめたのさ), su root は, 信用できる, 保護されたネットワーク以外では絶対に不可. ちなみに, 認証だけは保護されている.

ところで, BeOS は, どうなのであろうか. アレの方が, X なんかよりもエレガントな解決を用意しているような気もする. なんせ, この OS はマルチスレッドと多彩なプロセス間通信がウリだからな. また, 全然違う OS であるが, plan9 などでは, OS のシステムコールが直接リ モートホストにアクセス可能らしいから, Xなんかよりもっと徹底している.