葉っぱはこんな形をしている. 大きさは 10cm くらいで, 厚さが3mmm 前後とけっこうある. 湿りけがある地面に落ちてしばらくすると芽が出て来る. 芽が出たら, こんな感じである. 縁のへこんだところから芽がでるのだ.
小笠原では, 林のはしっことか, 湿った岩場とかに群生していた. あまり栄養の良さそうなところには生えていない. そういうところは, もっとデカくなる植物が威張っている. ヤシ科とか, なんかそういうメジャーな連中がね. ハカラメは, わりと周辺ニッチ植物である.
しかしながら, ダテに熱帯やってるわけじゃないんですねえ. こいつは. すげえ生命力である. ベランダに落ちた葉っぱが, エアコンの室外機が置いてある ブロックにへばりついていた. ブロックは, 室外機から出る水で, いつもシケていた. すると, その葉っぱからしっかり芽が出て, いつのまにやら ブロックに着生した.
やたらと幹が伸びてゆき, ちょっと古くなった葉っぱは, ポロリと落ちる. すぐに葉が落ちるのは, どうもこいつの 戦略らしい. 風がふいたりすると, 落ちた葉っぱがあちこちに散らばって, そこから芽が出るという作戦だ.
ウチはアパートの 2階で, 階段を降りると別の家の玄関の前を通って 路地に出る. 1階の家は, そこらじゅうにいろんな植木鉢を置いて, いろんな植物を飼っている. 今朝, 家を出るとき, ふとみると, その植木鉢の一つに, どっかで見た植物が生えている. む!奴め!こんなところにも領土を拡大しておったか!
こういうのを見付けたら, 他にも奴の領土があると考えるのが自然だ. 捜索の結果, ゼラニウムが生えている別の植木鉢にも 上陸しているのが確認された. しかも, こやつは熱帯特有のむちゃくちゃな成長曲線によって, 既に先に生えている植物(階下の住民が植えたものである)を 圧倒し, 太陽光線を受ける有利な位置を確保していた.
最近, 極端な暖冬で, こいつらが死ぬような寒波は, 全然来そうもない. ショボいニッチ植物ですらコレだ. 熱帯仕込みの本気の連中が来たら, どうなるのであろう. 東京はコケとシダの密林になってしまうのではないか? ウヒヒ. そうなったら楽しいなあ.
生物は, その得意/不得意で, いろいろな役割/場所を分け持って, 様々に繁茂したり滅亡したりしているわけだ. 暖冬のおかげで, 小笠原出身のヘンテコな植物が, 普通の鉢植えを圧倒して繁茂し, 片や大気汚染のおかげで繁茂している野鳥が居る. コゲラである.
コゲラは, キツツキの一種で, スズメくらいの大きさ. 白と黒のダンダラで, 元は里山に居た. シジュウカラやエナガ, メジロなんかと一緒の群れに混じって, 林に居るのが, 秋から冬にかけてみられる.
こいつが, よく東京の公園とかに居るんですよ. 東工大にも, よく居るし, 学校に来る途中に通る 公園にも居る. 白金台の自然教育園にもよく居る. キツツキが, 東京に?である.
これは, 俺が確かめたわけではなく, どっかで読んだ話なのだが, 東京の樹は大気汚染でいつも痛めつけられているので, 勢いがなく, コゲラみたなショボいキツツキでも, 穴をあけて しのいでいけるのだそうだ. 普段は体格差でマイナーな地位に留まっているコゲラであるが, 大気汚染のおかげで, こ奴等の居場所ができたというわけらしい.
コゲラはよく鳴くので, ちょっと樹のしげった公園なんかで, 鳥の鳴きごえに集中していると, 声が聞こえる事も多い. 「ギー. ギ, ギ, ギ, 」と細い声で鳴く奴がそれだ. キツツキ特有の姿勢で幹にタテにしがみつき, つついているぞ.
東京はカラスの圧力がすごいので, 最近はツバメの巣がほとんど見られなくなった. その一方で, こうして地道に勢力を拡大している生物が居る. まったく, 生存競争は厳しいのう.