お. そうそう. 忘れておった. いま, アクセスログを調べてみたら, けっこう昔の url での 接続がありますね. 2000年 4月から hss ドメインは無くなるので, http://www.wl.me.titech.ac.jp/~yuji/ の方で夜露死駆. まあ, nslookup 常駐のお方には余計な心配ですが.
良い方
悪い方
こんなもんじゃないですかね. もちろん, コンピュータ関連の会社の方々は, 「便利な」とか「有効な」とかなんかそういうのを 持ち出すだろうし, 化石文化人なら, 「冷酷な」とか「官僚的」とかの, 人間に対して 使うべき語彙を持って来るであろうが, 普通はこんなもんでしょ.
ところで, 人間は, 勉強したがる動物だ. 勉強して差を付けたかったり, 単に新しいものが好きだったり, 動機はいろいろだが, いずれにせよ人間は勉強が好きな動物である. じつは, 俺はようやく気づいたのだが パソコンってのは, この辺にスポッとはまる製品なのだ. 勉強したいという欲求を満足させてくれる, いわば教養玩具なのだ.
「パソコンができるようになる」という用語がこれを物語っておる. パソコンができるって, 一体何じゃ? こりゃ全面的に謎だが, これは, じつは明らかになってはならない, 曖昧なままにしておかねばならない概念である. なぜなら, これは教養だから.
これは勉強の世界だから, 当然, カーストがあるのじゃ. 教養パソコンの世界の底辺をなしているのは, 初心者といわれる人種である. 勉強カーストの常として, 次には中級者, そして上級者と続く. こういう努力と出世みたいな話はいつも大人気であり, それはパソコンでも同じだ. パソコン勉強世界の 頂点に位置するのは当然, ビルゲイツである. しかし, これは全員の総意ではない. 違う流派では, あいつ, なんていったっけ, アメリオじゃなくて, えーと, アップルの社長だ. ジョブス! それそれ, ジョブスが頂点に位置することになっている.
教養パソコン道には, 言うまでもないが, 流派が 2つある. りんご流と窓 (まど) 流である. 窓流は, かつて ドス流といったが, いつの間にやらこういう名前になった.
カーストだから, 初心者には禁じられていることが沢山ある. まず, 初心者は, ブラウザには 「エクスプローラ」 を使わねばならないことになっている. ネットスケープ社の製品は, 中級者以上にならないと, 使ってはならない. それから, 初心者はブラウザをデフォルトの設定のままで使わねばならな い. 特に, 「じゃば」やら何やらを off にすることは, 固く禁じられており, 違反すると setup.exe を 256 実行せねばならない (窓流の場合) . 初心者は, dos 窓禁止である. もっとも, これに関しては, 俺も見たくもないが. それから, かならず html ファイルを添付してメールを送信せねば ならない. これは, 流派を問わず共通している規則だ.
初心者の間は, 違う流派のことを話題にすることは厳禁だ. 違う流派のことを話題にしたら, ダブルクリック 1024回. 違う流派のパソコンを操作したら, 破門である. また, 中トジじゃない装丁の, ブ厚いモノクロの雑誌を見ることも禁じられている. いうまでもないが, 違う流派に関する雑誌も厳禁である. それから, これをわすれてはいけない. 初心者はキーボード ショートカット 禁止だ. 操作は全部マウスと矢印キーを使う決まりだ. 違反者は「激打」でマダラ兄弟と 256 回対戦の刑である.
中級者になると, 違う流派の悪口を言うことが許可される. また, 「鯖」「串」「すぱむ」などの語彙が解禁になる. これらの用語を口走って, 「俺たちは, おめーらとは違うんだかんな」という ところを初心者に見せつけることができる中級者は, 最高にカッコイイ. また, 中級者の中でも最高に強まった奴には, telnet や ping や ifcfg といった「コマンド」を使うことが 許される. もはや初心者の想像も及ばぬ超絶の領域である. また, 雑誌 「pc computing」 の 裏cdrom (笑) の中身を見てもいいのも, 中級者からである. 中級者の最終奥技が ベクターからダウンロードした フリーソフトのインストールなのは言うまでもない.
勉強の世界では, 楽しいことは軽蔑されるのだ. 本当だぞ. どんなに役に立つことでも, やって楽しいことは勉強ではないのだ. そして, この苦行を経たものだけが, 次のカーストへ進むことができるの じゃ. しかし, 実はここには偉大な欺瞞がある. 残念ながら初心者から入った人は, どんなに頑張っても中級者までしか 進めないようになっているのだ. そのうち家元でもできれば, 金しだいで上級者になれる時代が来るのかも 知れんがのう.
じゃあ上級者って一体なんだ? じつは, パソコン教養世界には上級者は存在しない. なぜなら, 教養だから. 教養の重要なコツは, やりすぎないことである. パソコンが, 何か難しくて高度なものだというイメージが, こういったカースト制の成立を可能にしている. だがしかし, そんなことを一生やってても上級者にはなれぬ.
パソコンを勉強している人からは, 上級者は決して生まれない. 勉強しても, 上級者にはなれないのである. じゃあしかし, 一体上級者ってのは, どうやって出来たんじゃろ? じつは, 上級者は, コンピュータを使って楽しむ人びとから生まれる. 昔は, かれらを「ハッカー」と呼んだ. 今も, 彼等はお互いへの敬称としてその名を使うが, 稀な例外を除き, 自らそう名乗る事は無い.
コンピュータを使って楽しむとは, 一体そりゃどういうことじゃ? と全然見当も付かぬ, 勉強派の人が居たら申し訳ないので, ここに判りやすい例を挙げよう. プログラムの不具合で「予期せぬ終了」があったとき, 原因追求のために終了間際のメモリの状態を OS がファイルに書き出す事がある. 「コアを吐く(dump)」という. なんとも糞忌々しい出来事であるが, その, できた忌々しいファイルのアイコンとして こういうのを使うというのが, コンピュータを使って楽しむってことさ.