やむごとなきお方の


いわゆるひとつのパタリロ似であるやむごとなきお方は, なかなか活発な登山活動で知られている. 彼は, そのやむごとなき身分のせいで, 何かと先入観を持ってみられがちであるが, どうしてなかなか, 山に関しては歴戦のツワモノである. らしい. 昔, 南アルプス南部を縦走して, 最後にたどりついたサワラ島の小屋に, 彼が登ってる写真が飾ってあった.

彼は日本でも, かなりでかくて険しい方面にも頻繁に登場するので, お付きの SP は, 装備をたくさん持って, じつに大変であろう. 彼はなかなか歩くのも速いらしく, 付いて行くのが精いっぱいと聞いたことがあ る. 写真で見ると, 彼のザックは小さいのであるが, SP は多分, 必殺の体力を 持っている(はずな)ので, やはり彼はそれなりに強いのであろう.

彼が出かける山を見て思うのであるが, 絶対, 奴はクライミングや冬山もやりた いはずだ. 「ヨーロッパアルプスを登ってみたい」こう考えないわけはないのだ. あるいは, 沢指向かもしれない. いづれにせよ, ハイキング以外のことをやりたいに違いないのだ. そういうわけで, 俺は, 彼が登山雑誌(山と警告やら, 岳塵とか)に出て来るのを見ると, いつも, こう思うのである.

勝手にハーネスとかカラビナとか買って来て, 「殿下, いけませんね」とかいって, お付きの人に取り上げられたりした事があるのではないか. 寝床からピッケル(しかもシャルレのパルサー)が見付かって, オヤジ(つまり, 陛下)に大目玉くらったり してるのではないか. 「あれほど冬山はダメだと言っただろう!」とかいってな. あと, 昼休みについ, 石垣を登ったりして叱られてるのではないか. ろくでもないガイドブックも, 沢山持ってるだろう. あるいは, ひょっとすると道具だけは完璧に揃えているかもしれない. ゴアのテントとか, エーデルワイスのロープとか, mizo のアックスとか Black Diamond のアイスピトンとか, 良い羽毛のシュラフとかを持っていて, いろいろ妄想しているのかもしれないなあ.

彼が今さらクライミングを始めて, なんとかものになることは考えられないし, もともと運動神経もあんまり無さそうだから, もっと昔からやってたとしてもけっ こう厳しいだろう. しかし, 本人がやりたいかどうかは, 適性とは全然関係ないことだからな. やりたいというものを無理に止める必要は無いわけでして.

こう考えると, 若干, 彼が気の毒に思えて来るから不思議なものだ. 彼が, 好きなように氷壁登ったりできるようになる時は, はたして来るのだろうか. そういえば, 弟のナマズも, 庭先でベンツだかワーゲンだかを無為に乗り回す日々 だと聞く. 自宅軟禁だね.