ロードレーサーに乗ったことのない人が導入する手助けになれば, と願い,書かれました.
あらゆる無保証です.
舗装道路で競争するために作られた自転車をいいます. 1950 - 60年代に原型ができあがり, 90年代に今の形になりました.
高速で長距離を走るためだけでなく, 競争相手を振り切るための工夫 すなわち, 坂の登り下りや 加速/減速性能にも重点が置かれているのが普通です.
通常の自転車と比較すると, その特徴は,
という感じでしょうか. なんせスゲェ自転車ですが, 所詮自転車ですから基本的にあんまり難しく考える必要はありません. 仕組みもエンジンがついてるものに比べると単純ですし, 自分で漕がないと進みません.
街にある, 普通の自転車屋に行って 「コルナゴ ください」といっても 「それって食べられる?」と聞かれるのがオチです.
ロードレーサーは自転車とよく似た形をしているが, 別の種類の乗物だと考えることもできるでしょう. したがって, 特にこれを扱っている店が別に存在します. チャリ雑誌などを見ると幾つかそういう店が広告を出していますから, 行きやすい店を見付けて下さい. もちろん, web で検索しても可.
幾つかの購入形態があります.
もっとも簡単なのはパックになっているもの. つまり, 完成した状態の製品を買うことです. 日本ならミヤタやブリジストン. イタリアなら Bianchi , アメリカなら Specialized や Trek, 台湾なら Giant などのメーカーから いっぱいリリースされています. Specialized, Trek, Giant などはヨーロッパのプロチームに 機材を供給していて, 本場の最新のトレンドに乗ったモデルが, チームで使っているのと同じペイントで買えたりするのも そういうのが好きな人には良い感じかも.
主要な構成部分ごとに指定して購入し, 店で組み立ててもらうことも可能です. 主要な構成部分とは,
などです. 経験者の多くは, このようにして購入するようです.
フレームの色やブランドなどに 最初は釘づけになりがちですが, 競技用の機材を選ぶのだ, (たとえレースに出なくても) という認識を忘れないでください. つまり, 自分の体格に合ったフレームを選ぶことが もっとも重要です. これは, 完成車を購入する場合も同様です. ロードレーサーは妥協なき乗物ですから, 体格に合わなかった場合, しんどい割りにスピードが出ないとか, 最悪, ほとんど我慢できない苦痛を味わうかもしれません.
市販品に気に入るもの, 合うものが無くても 全然問題ありません. 体格にもっとも関連するのはフレームですが, この部分を自分の体格に合わせて一本ずつ作ってもうらうことは 比較的普通です. このようなオーダーフレームは, できあいのものよりも 猛烈な値段になりそうな気がしますが, この世界にはそのための システムが昔からちゃんとできあがっており, せいぜい 何割か高くなるだけです. じつは, できあいのフレームも職人が一本ずつ溶接して作るので, オーダーフレームといっても, たいして製造の手間は変わらないのです.
一般に, 完成車を買う方が, バラで買って組み立てるよりも 安くあがりますから, 完成車で自分に合い, かつ, 気に入ったモデルが 見つかれば, お買い得です. 部品とフレームから, 自転車に組み立てる作業は わりと大変ですが, これは通常, ショップにお願いすることになり, そのための工賃などがかかるからです.
フレームと部品をバラで買う場合は, 最近の部品はいろんな会社のいろんなモデルをごちゃまぜにして使うのが 難しくなっているので, 互換性の問題がほとんどあらゆる箇所に存在します. 例えば,
などはシビアな互換性の問題が存在します. これは, 駆動系の部品をトータルなシステムとして開発したほうが 性能や操作性を向上させやすいことが一つの理由です. このように総合的に開発された部品システムとしては, SHIMANO の DURA-ACE や Campagnolo の RECORD などがあります.
逆に言えば, 「部品は DURA-ACE を使う」などと言ってしまうと 本場ヨーロッパのマシンと同じ構成にもなるし, あんまり難しく考えなくて済む, とも言えますね.
部品のうち, 独立して選択の余地があり, かつ, 慎重に選択せねばならないのがイス. すなわちサドルです. レーサーのサドルは座るところというよりはむしろ尻を固定するための 部品です. ペダルを踏むときのポジションを決めるなどの役割があり, 人間と自転車の非常に重要なインターフェースなのです.
といっても, 自分の尻に合うサドルがどのようなものか, これが経験が無いと解らないものなので, とりあえずルックス優先で選んでしまうのもアリかも. 最近は尿道のあたりの圧迫を避けるデザインの製品などもあり, 性能だけでなく快適さも(あくまでもスピードを妨げない範囲で) 追求されています. ナニと尻の間が痺れるようなら, そういうモデルに 交換すると良いかもしれません.
部品の選択肢に比べて, フレームの選択肢は膨大です. ほとんど無数のメーカーがあり, ほとんどのメーカーで 好きなように寸法やディティール, それに塗装を指定できるからです.
人気があるのは, ヨーロッパのレースシーンで活躍しているブランドですが, それ以外にもいろいろなものがありますから, じっくり捜して下さい. 大抵の店では, フレーム, 部品を持ち込んで組み立ててもらうという ことができますから, あちこちで必要なものを調達してきて, 自宅近くの店で組み立ててもらう, ということもできます.
競技関連の機材ですから, 部品にもフレームにも (そしてもちろん, 乗ってる奴にも. 笑) , カーストがあります. すなわち, もっとも高い位階はヨーロッパの有力チームが 今シーズン採用したものであったり, あるいはメジャーなレースで総合優勝した選手の使っているものです.
このように, たとえユーザが自分で競争しなくても, 「一番速かった」ものが一番偉いという, かなりシンプルな価値体系が あるわけです. この価値体系は全世界にわりと共通で, 特にヨーロッパなんかでは 有力チームや選手と同じメーカーのフレームが大人気です.
これとはやや独立に, 「軽いものが偉い」という価値体系も存在します.
これは, 純粋なマニアの心理です. 同じ 8kg の重さの自転車でも 性能は全然違う場合がある, というのは機械として自明なのですが, それとは関係なく, あくまでも自己満足として自転車の重さを追求します.
このようにいくつかの価値体系があるわけですが, それぞれちゃんと根拠があり, うまく使い分ければ自分の欲する「速くて楽しい自転車像」を 構築する助けになります.
まず, レースで実際に使われている機材ですが, これを使う利点は明白です. つまり, 極限状況でテストされた絶対の信頼性と高性能が手に入るわけです. その動作, 精度, 強度, 重量(つまり, 軽さ) 及び造形は圧巻です. なんせ, プロのレースで使われる機材ですから, ヘボかったり, 壊れたり, ダサいものは絶対に許されないのです.
デメリットもあります. 一つは, 当然ですが, 値段が高く, 普通のグレードの機材の何倍もするものもあります. また, 生産量が少なく入手困難な場合などもあり, 維持管理にかかる手間と資金も多くなります.
現代の最高グレードの製品は, じつは操作がかなりバカチョン系です. 極限状況のストレス下でアホ化しても操作がバッチリ決まるように, 実戦グレードの機材は 操作にあんまりテクニックが要らないように設計されています.
変速器は, どんな状況でどんな使い方をしても一発で目的のギアに変速し, ブレーキはどんな天候でも同じような効き具合で, フレームは立ち漕ぎしようが座ってダッシュしようが あくまでも加速し, 登りでも下りでも加速/減速/コーナリングが 思いのままです. ゼロ戦のように超絶の熟練者が乗ったときだけ 超高性能を発揮するのとは違うわけです. こういった設計思想は 1980年代から 90年代にかけて, 大きく変わりました. したがって, それ以前の機材 (ゼロ戦タイプ) を愛好する, ある意味コアな人々も居ます. 言うまでもなく, どんなに熟練しても, 今の機材の性能を 上回ることはありませんが, これは乗る人の主観とは別の問題です. 要するに, 「楽に乗れるものが速い」わけで, これは自転車だけではなく, 最近のレース関係の機材全般に言える設計コンセプトの傾向ですね.
ですから, 即実戦仕様の最高グレードの製品をイキナリ買っても, 使い勝手に関してはそんなに心配する必要はありません.
人間の馬力は有限で, しかもわりとショボいです. ですから, 同じ強度なら軽い方が良いに決まっています. しかしその前に, 機材の質量は, 速度ではなく加速に関係するのだ, ということを確認しておきましょう. したがって, 同じ重さを削っても, どの部分を削るかで 機材の性能や傾向は大きく異なります.
車輪などの高速回転部品は, 回転モメントを減らす程 加速が良くなります. 最新の軽量アルミフレームに重い車輪をつけた 自転車と, 昔の鉄のフレームに軽い車輪をつけた自転車では, 同じ重さでも後者の方が圧倒的に速く走れます. これに対し, 回転しない部品を軽くしても, 加速にはそれほど影響しません. 車輪以外の部品にカーボンやチタニウムを投入しまくって 500g 軽くしても, 自分が 1kg 太れば, あるいは 1kg 余計な荷物 (服装なども含む) を持てば, トータルではマイナスです. 最近のロードレーサーを さらに 500g 軽量化するにはかなりの予算と気合いが必要で, 場合によっては不可能ですが, 人間を 1kg 軽量化するのは楽勝ですね.
また, 車輪は路面からの衝撃をまともに受ける箇所だけに, この軽量化は自分の体重とも密接に関係します. 体重が軽いほど, 軽いフレーム, 軽いホイールが使えます.
加速には, 質量だけでなく, 加える力も関係しますね. 機材の強度が劣れば, 自分の貴重な馬力が部品(フレームなど) の変形に 使われ, 加速にはまわりません. さらに, それらの無駄な努力が心理的ストレスとなって襲いかかって来ます. こういう状況は「持つと軽いが走ると重い」と言って嫌われます. また, 変形が繰り返されると破壊につながるなど, 安全性も考慮せねばなりません. 軽量化には, 自分の馬力に見合った強度 (剛性や耐久性) が必要条件なのです.
走行感には自転車のバランスも影響します. 一般に重心が低いほど, カーブも曲がりやすいし, 立ち漕ぎもやりやすくなります. ですから, 車輪以外では, 下の方の部分よりも, 上の方の部分の軽量化が有効です. たとえば, サドルやハンドル周りですね. こういった軽量化は峠などの長い登りで有効です. また, MTB のようにトップチューブが後ろ下がりの スローピングフレームが, 登りの厳しいレースで しばしば用いられるのは, 重心が下がって登りやすくなる (つまり, 立ち漕ぎしやすくなる) という理由もあるようです. このへんのバランスを考えつつ軽量化すると, 具合の良い自転車ができるでしょう.
私の経験から言えば, 走行性能にもっとも影響するのは ホイールで, フレームは極端にへんてこな設計や材料のものでないかぎり, 体格にちゃんと合っていればだいたい何でも構わないようです. むしろ, 綺麗でかっこいいなど, 自分が気に入って乗れるかどうかが 重要なように思います.
自転車を買ってそれでオシマイというわけにはいきません. いくらバカチョン化したといっても, やはりロードレーサーはシビアな乗物で, わりと点検, 整備する必要があるからです.
なにしろ毎回店に持って行くわけにはいきませんから, こういったことはある程度, 自分でやらねばなりません. そのために必要な道具類は, 自転車を買ったときに一緒に入手してください. 大抵の部品の調整はネジまわしと六角レンチでできます.
ロードレーサーのタイヤは, ママチャリとバルブの形式が違い, フレンチバルブという形式のものを使っています. つまり, 普通のポンプでタイヤに空気を入れることは不可能です. アダプタなども存在しますが, 必要な空気圧が 7 から 15 気圧などと馬鹿げており, 普通のポンプではそんな圧力は出ませんから, 結局アダプタも 役に立たないわけです.
したがって, フレンチ バルブ用の, 圧力計付きの 高圧ポンプも入手しましょう. 5000円くらいです. ロードレーサーのタイヤは適切な空気圧の時に最も良い性能を発揮するように 作られています. 空気圧の調整が不正確な場合, 所定の性能を発揮しないばかりか, パンク, ホイールの破損, カーブでコケる, などのトラブルの原因になります. ロードレーサーは速いです. あのスピードで車輪のトラブルが起きると 悲惨な事故になりがちです(ヨーロッパのレースでは死人も出る)から, 空気ポンプに圧力計は必須です.
ヘルメットを必須とする意見もありますが, これについては, 私は否定も肯定もしません. ただ, 自転車ってのは原理的にコケる乗物であり, いつ, どこでコケるか判ってたらコケる奴は居ないわけであり, ロードレーサーはどんなヘタレでも下りなら 60km/h 以上のスピードが 出てしまう乗物である, という事実を指摘しておくことにしましょう. 私に関して言えば, 何度かの致命的な事故以来, 幹線道路を超える範囲を乗る時は必ずヘルメットを着用することにしています.
他に, スペアタイヤやパンク修理セット, 携帯ポンプなども入手しておきましょう. 出先にロードレーサーを扱う店が都合良くあるとは限りません. ですから, パンクの修理くらいは自分でできるようになりましょう.
おそらく, 店であなたの体格に合わせて調整してくれるでしょうが, そうでない場合は, 自分でできないと思ったらちゃんと調整してもらってから 自転車を受け取って下さい. そして, その設定の次の 4つの数値をできれば ミリ単位で 測定してメモしておきましょう.
これら設定諸元は, 高速を維持するのに必須のデータです. いわば, エディタのキーバインドといって良いでしょう. また, 自分で設定を変更したら, これらの値をかならずメモっておくように.
これらの値の意味が判って来て, 自分で調整できるようになったら, 初心者脱出です.
ロードレサーの極端な前傾の乗車姿勢には理由があります. 腿の前面の筋肉だけを使っていると, すぐにしんどくなってしまいますが, こういう姿勢を取ることによって, 空気抵抗を減らすとともに, 腿の後面や, 尻, 背筋などを 動員することができるのです. これによって達人は 300km を 7時間で 走破するわけです.
最初は首や肩, それに尻(というか, 股. 座骨)に 強烈にクるかもしれません. 我慢できない場合はハンドルの位置を上げたりすると 多少マシになりますから, そういう対策をとりつつ, まず, 前傾の乗車姿勢に慣れましょう. 慣れれば全然平気で, フレームとサドルが適切なら 何時間でも乗っていられます.
最初は, いつでも停止できるように ブレーキに手をかけ, いつでも停止できるスピードで ポジションや操作に慣れましょう. いきなり飛ばすと, 絶対に事故を起こします. 最近の変速レバーはブレーキ付近に統合されていて, 手を放さずに変速可能なので, レースでの戦術だけでなく, 安全の向上という点からも 好ましいですね.
たとえ整備を全部ショップに任せるとしても, 車輪の着脱だけは自分でできないと非常に危険です. クイックリリースの使い方は完璧にマスターして下さい.
レバーを倒し込んでおさめる方向は, 追突したりされたりしたときに 他の自転車のホイールなどに引っかかったりせず, かつ, レバーを倒すのに力を入れやすい方向にします. そして, そのような方向は前輪でも後輪でも一つしかありません.
慣れて走れるようになるにしたがってサドルは高くなり, ハンドルは遠く, 低くなって いきます. 究極はもちろん, ヨーロッパのプロのようなポジションですね.
やたらと沢山ついてるギアですが, この使いこなしは 重要なテクニックの一つです.
ペダルを踏むペースができるだけ一定になるように, ギア比を適宜変更しましょう. そのために高度な変速機構が 備わっています. 向かい風や登り, 路面が荒れている時はギア比を軽くし, 下りや追い風ではギア比を上げるわけです.
峠の登りのように長い登りが続いたり, ずっと強い向かい風の時は, 前のギアを小さい方(フレーム側)に切替えます. 市街地など, 頻繁に発進/停止を繰り返す場合も前ギアは小さい方に切替えておくと 良いでしょう. 前ギアの変速は左手です.
後ろギアの変速の方が, 前ギアよりも変速操作が速く, ギア比も細かく選べるので, 通常は後ろギアの変速を使います. そして, ギア比が足りなくなる, つまり, 適切なギア比を選べなくなりそうになったら, 前ギアの変速を使います. 前ギアを変速したときのギア比の変化は比較的大きいので, 適切なギア比を選ぶためには, 同時に後ろギアも 2-3 速ぶん変速すると 良いでしょう.
前ギアも後ろギアも全部使い果しても登れない坂は, ハンドルをグワシっと掴んで立ち漕ぎでクリアします. ビンディングペダルの恩恵を最大限に活かして, 脚を引き上げる力と踏みつける力を総動員すれば, ロードレーサーは, 今までの「自転車」という乗物の概念を覆すほどの登叛力を発揮します. 足が固定されているので, ペダルを踏みつけるだけでなく, 引っ張り上げることもできるわけですね.
もちろん, どんなに優れた自転車でも自分で漕がないと走らないわけですし, どんなに強靭な体力の持ち主でも, こんな乗り方を永遠に続けることは できませんから, 登れなくなった時点でアウトです. そうなったら自転車を降りて押すか, 引き返すかしかありません. クリアするには, 筋力の増強, ギアの交換, 自分と自転車の軽量化などが必要です.
意外に思われるかもしれませんが, ペダルの踏み方は ロードレーサーでは非常に重要な技術の一つです. ペダルに足を固定する仕組みをうまく使って, いつもトルクが途切れないように. できるだけ一定のトルクがかかるように踏むのが良いのです. ピストン運動的にペダルを踏むというよりも, クランクをスムーズに廻すように心がけるとうまくいくようです. こうすると, 局所的に疲労が集中するのを防げるし, 自転車も滑らかに前進します. これは, 人間の限られた馬力を有効にスピードに変換するために 非常に重要なテクニックです. そのような滑らかなペダリングが 50rpm から 150rpm までできれば, レースでかなり有利になります.
ペダルの回転数は, 一分間に 80 から 100 回転くらいが 楽に走れるようです. ギア比は, ペダルをこれくらい廻せるように選ぶと良いでしょう. 90 回転といってもちょっと想像がつかないかも知れませんが, 感覚的に言えば, 平地では脚に僅かにトルクがかかっている状態で, 永遠に走って行けそうな感じがするあたりが, 多くの人にとって適当でしょう.
峠などの登りでは, 脚への負担がもう少し厳しくなります. 70 から 80 rpm になるようにギアを選ぶと良いようです.
変速の項にも書きましたが, 足をペダルに固定する仕組みを活用して踏み足と引き足をフル稼働させると 平地ではけっこうな勢いで加速します. 立ち漕ぎでこれをやれば, スルドくダッシュできるわけです.
ハンドルはいろんなポジションを取れるようになっています. ブレーキのブラケットを握ったり, 手前の水平部分を持ったり, 奥の曲がりを握ったり, 時々立ち漕ぎしたりして, いろんな姿勢をとり, できるだけいろんな筋肉を動員するのが疲れずに走るコツ. 立ち漕ぎでは普通よりも一つか二つ重いギアを踏むことができます.
ブレーキは, 前を 6 後ろを 4 の力加減で使います. ロードレーサーのタイヤは軽量化のためにゴムが薄いので, スリップすると, すぐにゴムが削れて無くなってしまいますから, 急ブレーキ時はタイヤをロックさせないように. 急ブレーキでは, 前 9 後ろ 1 で, 体重をできるだけ後ろに移動します. あの細いタイヤで信じられないくらい高いグリップ力を発揮しますから, そうしないと簡単に後輪の荷重が抜けてロックしたり, 最悪, 前方にひっくりかえります. また, 路面の悪いところでは 前輪のロックにも気を付けましょう. 前輪がロックすると, プロの選手でも大概コケます.
前傾姿勢から後ろを確認するのはなかなか苦しいのですが, 一般車道を走るときは, よく後ろに気を付けて走りましょう. 特に, タクシーとトラック, それにベンツに気を付けましょう. トラックは幅が広く, 変なでっぱりが多いので危険です. タクシーは突然路肩に止まり, ドアを開けるので剣呑です. タクシーを呼び止める歩行者にも注意を払った方がいいでしょう. ベンツは車というより中身が問題という場合が多いようです.
道路左の障害物をよけるために, 右にふくらんで走るときは, 後ろから来る車に手で合図を送りましょう. その他にも, 交差点で止まってもらったりしたときも, 手で挨拶した方が良いでしょう. 自転車は自動車よりも法律上, 保護されていることになっていますが, それが実行されるかどうかは自動車の運転者にかかっているわけです. お互い良い気分で走りたいものです.
タイヤが非常に細いので, デコボコはどうしても苦手です. 歩道の段差などに正面から何も考えずに突っ込むと, わりとリムやホイール, タイヤを壊しがちです. 多少の段差やでっぱり, 溝などは, ジャンプして飛び越えると良い感じです. 足はペダルに固定されているので, 前, 後輪いっぺんにジャンプするのは 慣れれば簡単です. スピードさえあれば, 幅 2m くらいの溝は余裕で飛び越えられます.
ビンディングペダルを使う場合は (ほとんどの場合がそうでしょうね) ペダルを見なくても付けたり外したりできるまで 十分慣れてから車道に出ましょう. 徐行する必要があるときなどは, 早めにペダルをはずす習慣をつけましょう.
自分が自分のマシンのメカニック マンにならねばなりません. つうか, これがオモシロイわけですよ.
普通のユーザが行う整備は,
くらいでしょう. 用意するものは, 六角レンチその他必要なネジを廻す道具, ホイールにニップルまわし, タイヤ関係に, タイヤレバーやパンク修理, あるいは リムセメント(接着材), それにクリーナー(脱脂剤)と各種潤滑剤すなわち グリス, オイル (粘度の高いものと低いもの)ですね. もっとも, これらの装備をいきなり全部いっぺんに揃える必要は ありません. 徐々に必要になったものから揃えるのが良いでしょう.
ホイールの調整はこの文書の範囲を越えます. 最初はショップに頼んで, プロがやってるのを横から見て 憶えて下さい. 部品の調整はマニュアルが付属してきますから, ここでは各部の洗浄と注油を扱います.
一般的に言って, ベアリングの入っているところに 注油してはいけません. 具体的には,
これらの箇所にはベアリングが使われており, その潤滑剤として, 粘性の高いグリースが入っています. そこに注油するとグリースが流れ出してしまい, ベアリングを傷めますから 絶対に注油しないように!
可動部によって適切な油は異なるわけですが, 大抵の場所に使える高性能で便利な潤滑剤があるので, トリフロー (テフロン含有という噂の, わりと良い感じの潤滑剤の商品名) を使っておくと最近は間違い無い感じ.
チェーンに注油する時は, 一度古いオイルと泥, 砂などを 落としてからにしよう. これを落とすのは普通に布で拭いてもダメで(当り前だ), そのための便利なモノがあります. 通称「ディグリーザ」とか脱脂剤というものだ. 「オートバックス」とかで 1000円くらいで売っている.
脱脂剤はゴムに付くとこれを傷めるので, 古新聞などを, フレームとタイヤを保護するように被せてから, クランクを逆転させてチェーンを送りつつ, こいつを遠慮無く吹きかけてやろう. 汚れが固着している時は, 古い歯ブラシなどを併用するとナイス. で, これを布で軽く拭き取って乾燥させてから, 綺麗なオイルを必要最小限の量だけ注油する. 余分な油は砂埃を集め, 当然, 部品を傷めます. 差しすぎたら拭き取るしかないが, 最初から最小限を注油するのが ベスト.
チェーンは, 普通に乗っていれば, トリフローなら 500-600 km くらい放置しても平気ですが, 雨とか泥道で水や泥がかかったら, チェーンなど駆動関連部分の水分を拭き取っておきましょう. これを怠って一旦キコキコ鳴らしてしまうと, チェーンやスプロケットの潤滑剤を全部脱脂洗浄して 新たに注油しなおさねばならなくなります. 水はボロ布などで拭けば十分です.
チェーンに注油したら, ついでに後輪のフリーと後ろ変速器の 小さいギア(プーリー ギア) とパンタグラフのリンクにも注油しておきましょう. 脱脂されちゃってる可能性があります. これら駆動系の整備には, 後輪のハブ軸をくわえて車輪を浮かせて固定 する簡単な整備用スタンド (1500円くらい) があると 便利です.
ついでにブレーキ本体とレバーのピボットも手入れしておこう. ここらへんも, 油は必要最小限にしないと, はみ出た油に埃が集まって, 軸が摩滅してしまう. いずれにせよ, 一旦, 古いオイルと埃を 脱脂剤でぶっとばしてから注油するのがベスト.
そうそう, 大事なことを忘れてた. 乗る前チェックリスト.
ホイールやハンドルはしばらく乗っていると緩む場合があります, 必ず毎回点検しましょう. これらが緩んでいた場合の危険を考えると, 決して面倒には思えないはずです. これらを乗る前にチェックする余裕が無い場合に限って, トラブルが発生します.
レーサーを買ったら教えて下さい. 競争しましょう!(←アホ)