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使用プログラム gimp-2000.08.10-snapshot

コンピュータで実在の画材のエミュレートというのに, わしは懐疑的だ. だって画材なんて画材屋で売ってるんだから, わざわざエミュレートなんか するくらいなら, 実物買って来て使えばいいじゃん. 湾岸 300km/h とか, 八極拳の達人と決闘とかやってたら死ぬけど, 画材買って来て塗ったり描いたりするのに何の不都合があるわけ? コンピュータ資源は, もっと 有意義なことに使ってもらいたいね. あるいはこう, どうせやるんなら シルクスクリーン とか, いっそ 銅版のエングレービング くらいエミュレートしてくれよ. なんてな. エングレービングでは, ぜひビュランの研ぎもエミュレートしてもらいたいね (←しつけーよ).

え? undo できるからコンピュータの方が良いんだって? そんなこと言ってるから上達しねんだよ. 失敗したら描き直せ! (←大暴言) 「GIMP で undo レベルを 64 に設定している, それがお前に言えたことか!」 (← 「逆シャア」の池田秀一の声で)

そうはいっても, 水彩風なんてのも出来ても悪くないのでは? と思い, しばらく以前からいろいろやってみているわけです. Gimp User's Manual の最初の方に, チョークスケッチ風ってのが紹介されてて, それにヒントを得て やってみた.

これがその XCF ファイル.

基本はそのスケッチ風ってのと全く同じで, 写真の上に白レイヤを addition モードで載せて, 適当なブラシで上からいいかげんになぐり書きするだけだ. 非常に簡単. デッサンもくそもありゃしまへん.

この作例に GUM 所収のチュートリアルに比べて新しいところがあると すれば, それは 元になる写真をあるていど加工して, 上の白レイヤをいじったときに, 一見水彩風の効果が出やすいように 準備してあるところだ.

水彩な滲み感は "displace" プラグインを使う. マップには, 紙風のテクスチャで塗りつぶし, コントラストを伸長した レイヤを使う. displace 値は 2 pixel 前後だ.

ただし, 水彩風な感じを出すには, 元になる画像を 全部一辺に displace してしまってはダメだ. 人が描いた画が写真と一番違うところは, 注目の度合によって描き込みの密度が違うとこらへんである (それが極端になれば, 北朝鮮のポスターみたいに, 遠近法に関係なく重要人物が でかく描かれたりするわけだ. ←関係ねえか). なるほどレンズでも注目しているものがそれなりの位置や 照明になるわけだが, だからといって背景を手抜きしたりはしない. 幾らかそれに近いかもしれないのが, 望遠レンズの被写体深度を利用した ポートレイトなんかかもしれないが.

そんなわけで, 横顔の輪郭や表情の辺りは予め displace から除外しておくのが 正解だ. ここらへんで, 1.1 で増えた クイックマスク を使うと良いぞ. 画面左下の赤ボタンでマスクを生成し, 全部白(100%選択)で塗りつぶしてから, displace してほしくないところを黒で, fuzzy なブラシで塗って, 画像窓の左下, 点線ボタンを押せばできあがり. 画描きなら, 背景や髪は滲んでも, 顔の輪郭は滲ませないものだが, それがこれでできるわけ.

おっと. 他にも処理があったのを忘れてた. 明度は写真からいただくとして, 色くらいは自分でつけたいところだ. だから, 下敷にする画はグレースケール化した. [Image > Colors > Desaturate ] また, 全体として, 写真のディティールがそのまま残っていると 手で描いてないというのがバレるんで, 画面サイズなどに応じて適当に blur しとくのも良いでしょう. [Filters > Blur > Gaussian Blur ] それから, 画面の濃度バランスも, 自分が描くときに強調したいところが目立ちやすいように 修正した方が良いですね. 色曲線 [Image > Colors > Curves] で気に入るように修正しよう.

準備は良いかな? それじゃあさっき書いたようにクイックマスクで マスクしてから displace 起動! [Filter > Map > Displace ] 白レイヤを載せたら addition にして, 好きな色で好きなように塗ろう. とかいって, この作例は, 黒と赤(唇)しか色を使っていませんが. fuzzy なブラシを使い, 筆濃度を30% とかに減らして塗れば, 簡単に水彩っぽいものが描けますぜ. 載せたレイヤは addition なので, 下のレイヤで黒いところ (RGB=0,0,0) に上で赤 (RGB=ff,0,0) を塗れば, 出力は 加算されて 赤 (RGB=ff,0,0) になるというわけ.

白ではなく, 透明レイヤを normal か multiply で載せて色を塗れば, 昔の着色写真みたいなのもできるが, それはまた別のナニですな.

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