CPU の中身


コンピュータに入っている最重要部品は, ユーザ的にはハードドライブだったりするわけだが, 技術的には 言うまでもなく CPU であり, つまり 中央演算装置である.

その昔, CPU は基板(あるいはその集合体)だった. スーパーコンピュータと呼ばれたエンスーなマシンでは, その基板ごと液体チッソに漬け込んだりしたという. しかし, いつしか CPU は一個のチップになった. マイクロプロセッサである. 「マイクロコンピュータ」とは, マイクロプロセッサを積んだ計算機である.

わしもふくめて, ほとんどの人は, マイクロプロセッサを使った機械しか使った 事がないだろう. なぜなら, 中央演算装置は, 言うまでもなく非常に高価な部品 であり(相対的には, 今でもこれは変わらない), 計算機の値段を決める重要な要 素で, マイクロプロセッサではない計算機など, あまりに高価であり個人で買う 物ではないからだ. 個人で買えない計算機を使う機会に恵まれる人は, そう多くはない.

中央演算装置を一個のチップに押し込んでしまおうと思いつく栄光に恵まれたの は, 日本人だったらしい. 日本の常として, このアイディアは行かされる事無く, 外国で実現された. 最初のマイクロプロセッサは 4004 という 4bit の製品であ る. intel 社の製品である. intel 社は, 糞垂れではあるが, 「ま」のつく会社 とは違い, 人のものをあまり盗んだりはしない. 方向性には大いに問題があるも のの, どっちかというと, 技術と開発力の会社だ.

新しいアイディアの製品の常として, 最初のマイクロプロセッサは 値段は安いが性能も良くなかった. DEC の社長だか会長だかが, マイクロプロセッサを馬鹿にした発言が残っている.

その後の歴史は, 皆さんも知っている通りである. マイクロプロセッサの性能は指数関数的に増大し, マイクロプロセッサを使ってない計算機は値段でも性能でも全く太刀打ちできな くなった. SUN はマイクロプロセッサを使った unix マシンでワークステーショ ンのマーケットを制圧した. DEC は結局この波に乗り損ね, compaq とかいう箱屋に買収された. しかし, 歴史は繰り返す. せっかく一個のチップに収まった演算装置であるが, 最近は 「スケーラビリティ」とやらの名の下に複数のマイクロプロセッサを 搭載する機種がある.

集積回路はシリコン単結晶の上にアルミ蒸着膜やらなんやらで配線とトランジス タを描いたものだが, この作り方によって中央演算装置をこしらえたものが いわゆるひとつのマイクロプロセッサである. マイクロプロセッサ以外の演算装置は事実上手に入らないので, 「しーぴーゆー」 といえば最近は専らコレを指す.

こないだ, 部室に壊れた計算機がおいてあり, その CPUを分解する機会があった. CPU を分解するといっても, これは簡単ではない. 本質的に, CPU は非常に微妙で精密な構造物なので, 故障を逃れるために極めて強固な箱に収まっている. 箱の中には何が入っているのであろうか? 噂では, 32bit の CPU では, 横むきに小さいインド人が 32人並んで, 0 と 1 だけを使っ て計算しているとか.

CPU section figure CPU の構造はこうなっている. フタを開けた瞬間に, 小さいインド人は逃げてし まったらしく, 居なかった. 薄い紫色の硬くて四角い構造物は, パッケージであり, 伝導率ゼロで硬くて信用 できる物質, セラミックである. これを破壊せずに裏蓋だけを除去する技は, 今のところ知られていない. 裏蓋とはゲジゲジ足の生えている方の面に付いてい る金色の四角い板の事である. この四角い板は, 蓋なのだ. インド人の計算が, 埃で邪魔されないように, また, インド人が逃げ出さないようにこの蓋が付いて いる.

表の蓋には, 商品名とかがかいてある. この蓋は最近では目に見える形で残って いる事は少なく, 大概シリコングリスとかを塗ったくられて, その上にでかい放 熱器をとりつけてある.

昔の cpu はのんきだったので, あまり熱を出さなかったから, こういう仕組みにはなっていなかった. わしらが手を出すランクの cpu で , こんな仕組みになったのは, ここ数年の話(486 DX 以降)だ.

図を見れば判るように, インド人の街は表蓋に直接くっついており, 計算が激しくなって熱が発生すると, それが蓋にどんどん流れるようになってい る. 温度が上がると半導体の電気特性が変化してインド人の気が狂い, 計算がお かしくなってコンピュータが止まってしまうので, このように温度が上がりにく い工夫がなされている.

シリコンウェハースは銀色に光るシリコン単結晶を結晶軸と直角だかなんだかに 輪切りにして, その上に回路を描いたものだ. 小さな街である. 今回バラしたプロセッサは, 見ただけで ALU とメモリに分かれているのが判る. メモリは一次キャッシュだ.

フタの大きさは, ほぼそのままシリコン単結晶の大きさだ. これがでかい程, 作るのも難しく, 設計もめんどくさく, 熱も凄い. 手元にはいろんな CPU があるが, なんといっても pentium のでかさは抜群だ.

ここ は各種マイクロプロセッサの写真を集めた, よくわかんないサイト. マイクロプロセッサの写真によるカレンダーとかがあって, 全く謎.