城ヶ崎はクラックルートがたくさんあるので, フレンズとかジャムの練習にちょうど良い. だいたい俺は, ボルトというのが嫌いなんだ. もっとも, この意見の根拠は俺がフェースが登れないというところにあるわけだ から, 単なる僻みなのだが.
しかし, フレンズ一族は良い. もっとも誰でも使えるというものでもない. 練習しないと使えるようにならないのである. しかし, そういう練習なら大歓迎だ. 自分で設置した支点は信頼できるが, ひとの打ったボルトはちょっとな, という意見もあるしな.
しかし, フレンズは, 実は設置も難しいが, 回収も難しいのである. 抜けないからといって, ぐりぐりこじったら, どんどんクラックの中へ 歩いていってしまうのだ. あたりまえである. ぐりぐりこじって抜けるような ものは, プロテクションにならん. しかし, 一見するとぐりぐりやったら 抜けそうな気がするのも事実なのだ. そうして回収できなくなって白骨になった フレンズが, たいていのクラックに存在する. つまり, 城ヶ崎は フレンズ墓場なのでもあった.
今回のキーワードは墓場である. キャンプ場が墓場であった. この場合, キャンプ場というのは, わしらがキャンプした場所という意味で, 「はいはい, 良い子の皆さんは, ここでキャンプしましょうね」てな感じで 用意された, むかつく場所という意味ではない. 墓場は「J」 で始まって 「E」とか「C」とかが付く名前のクラブの先輩の, 秘密の場所なのだった. とても見晴らしが良く, 正面に海と大島が見え, 開けた高台で, しかも墓場だか ら水もあり, さらに場所がわかりにくいという, 理想的なキャンプ場なのだ.
わしらは墓場に 3連泊し, 帰りは伊東で温泉(170円だった!)に浸かって, そのあと大渋滞に巻き込まれつつ帰ったのであった.