八ヶ岳縦走未遂


せっかく 10.11.12 と 3連休なので, どっか行くかってことになった.

年末, 年始も行ってないわけで, どうせなら雪山でも行くかってことになった. 雪山も, いつものテント張りっぱなしの定着形態 ではなく, どうせなら最近やってない縦走が良いのではないか, ということになった. 雪山縦走. いいじゃないすかー.

とはいえ, 交通機関が便利で, 3日で縦走できる雪山なんか 八ヶ岳くらいしかないので, 例によって行き先は八ヶ岳に.

コースは, 最後に風呂とかいろいろ充実している岩と雪の南部を持って来て, しかも, いつも朝に下から見上げるばかりの山のてっぺんに テントを張ろうではないか, ということになった.

3日という予定から考え, しかも 3日目は下山ということになれば, 出発点はだいたい奥蓼科あたりになる. わしらの体力と経験から すれば, 余裕の計画だが...

詳しいことは, 行きの電車で相談することにして, 食糧各自. 装備は縦走. 登攀具無し. ということだけ決めて 例の電車すなわち 23h50m 新宿発の急行アルプスの自由席で 待ち合わせた. こういうええかげんな計画と段取りで出発できるのも, 経験あるメンバーどうしだからできることだ. なんせ, 今回参加の 4人は, わしら探検隊の創立メンバー. 雪山をおっぱじめた中核の面子である. 全員がアレなルートやエリアを自力で攻略してきたベテランなのだ.

電車は, いきなり三鷹で人身事故のために 1時間停止.

茅野に着いたのは 04h. バスは 06h30m なので, 2時間あまり跨線橋に寝袋並べて寝る. 今回は, 連休なので よっぽど沢山居るかと思いきや, あんまり居なかった. ただ, いきなり跨線橋にテント張ってた奴が居たのには, わらかして もらいました.

6時に起きてお茶を沸かし, 魔法瓶に入れる.

バスは 約 1時間で登山口へ. 足跡があるので, ちょっと遠回りだけど池とかを見て廻るルートをとる. 今年は非常に雪が多い. 八ヶ岳なんか, 寒いだけであんまり雪が降らないものなのだが, 今年は雪が多いです.

写真でも撮るかな, と思い, わざわざ持って来た一眼レフ 及びレンズ2本 (28, 50) だが, 低温で電池が弱まったのか, いきなり動いてません. シャッターボタン押しても反応無し. まるでただのしかばねのようです. 笑. このあと, 下山するまでカメラ一式は単なる重しとなった. ダメすぎ. 雪山に行く前は, ちゃんと電池の残量を点検しないとね.

足跡を辿って行くと先行者に追い付く. だいたいにおいて, わしらは歩くのが速く, 登山地図に掲載されている標準所要時間に 7掛け, 場合によっては 半分で行動するので, 他のパーティーを抜くことはあっても 抜かれることはほとんどない.

しかし, それは雪の無いところのはなしであり, 雪があると, 先頭が一番しんどいので 後から追い付くのは当り前なのじゃ. というのは, 道が判らないし, 雪をかきわけて進まないといけない(ラッセルという) からしんどいのである.

わしらが先頭になったが, 後続パーティーは付いて来れません. 速いです. こりゃ調子が良いね, と思ってたら, アレだ. 強風で足跡が完全に消えてるところで, 道が判んなくなってしまい, 地形, 地形図 (1/25000), それに方位磁石で行動するはめに.

森の中のラッセルは厳しい. 背の低い樹に雪が積もって, 下が空洞になっている場合なんかがあって, 胸までずぼっとはまって身動きとれなかったりして.

うまくルートを見つければ, 膝くらいまで足がもぐるだけで 前進できるんだけどね. つうか, わしら探検隊は テントその他生活用品と, 食糧を担いで膝まで (時に胸まで. 笑) もぐる雪の森を方向を間違えずに前進することができるのじゃ. 思えば強まったものよのう. わしは, チャリ効果で 7kg軽量化された一方, 馬力は増強されたおかげか, この日は 16 kg 背負ったままずっと先頭.

地形図の読みどおり, 登山道に出る. そこで ちょっと休憩, 行動食を取る.

行動食というのは, ようするに「おやつ」だ. 雪山では, 昼飯とかいって特に止まって食事にしたりしない. 冬は昼間が短いし, 天候や地形によっては, そういう余裕が無い場合もあるからだ. 火を使わないというのが重要だ. 気象条件によっては火は使えないが, そんなときこそ 食事が必要になる. そもそもそんなことやってると時間がかかってしょうがない. だから, 休憩の時なんかに, 火を使わずにすぐ食えるものを 適当な量 用意しておき, これを行動しながら食べる. ここで魔法瓶に入れたお茶が役に立つわけです. 何を食べるかは人それぞれだが,

ものが良い. わしの場合は, ソーセージやベーコンを挟んだ菓子パン5個と チョコレートクッキー 10個, 普通のとホワイトの板チョコを 一枚ずつ. これで 3日ぶん. チョコレートとクッキーは例によって ziplock に入れて ジャケット (Gore Tex の冬山用) のポケットに入れておき, 休憩とかで止まらなくても, 歩きながら食えるようにしておく. 歩きながら食べるのは 非常に良い. 腹が減ってバテるのを防ぐのに効果ばつぐんだ.

そこからコースはわりと急な登りに入るが, 高度に弱い セキ がここでダウン. ぶっ倒れたあと立ち上がって, 進行方向と反対向いて歩き始めるなどの, 高山病全開状態に. 聞けば 「ドクドクのズキズキ」状態だそうだ. しかも, 午前中は晴れていたが午後になって 風とガスが出て来てかなり寒くなってきた. 予定ではこのあとピークを 2つ越えて森に入ってテントを張るわけだが, その間, 獲得標高差は 500m, しかも森林帯を抜けて強風の吹きさらしになっているところを通過するので, 諦めて手前の森でテントを張る. バテてスピードが遅くなったパーティーが, そういうところを通過すると面倒な ことになるかもしれないからね.

ちょっと時間が早いので, オヤツ食って昼寝. 6時ころ起きて夕食. 自作ミートソースのスパゲティとミネストローネ (フリーズドライ). 8時就寝. 「何か文化的なもの」ってことで持って来た Unmbert Eco の The Island of the Day Before (英訳) を 8ページ読む. 英語, 激ムズ. マジで. インテリ蘊蓄系英語が全開. 読めね.

新しい寝袋は, すげー良いっす. 最高っす. 爆睡っす. ってことで, 10時間寝る. 昼寝を入れると 14 時間寝る. 2/11 は 7時起床.

良い天気. 出発に手間取り, 8時30分発. 朝食はトマトとボンゴレ (レトルト) のスパゲティと フカヒレスープ (フリーズドライ). 食事は, 水を 1リットル沸かし, そのうち 400ml くらいを使って スープを作る. スープを食ってる間に, 残った湯でスパゲティの麺をゆで, ついでにソースも温める. スープを食べ終わった頃にはスパゲティも食えるという段取り. 麺は ディチェコの 6分ゆで.

朝食は, 食後にお茶を沸かす. ここも 1L 沸かして 600ml を 魔法瓶に入れ, 残りはその場で飲む. 冬山は空気が乾燥していてわりと脱水しやすく, 脱水するとダルくなって馬力が出ないから, 水の補給は重要だ. 一旦脱水してから飲んでもすぐには復活しないので, 出発前に補給しておくのが正解なのだ.

なんせ 3連休だから人が多い. 風がかなり強い. ピークあたりで山頂に雲がかかりはじめる. ほとんどのグループは登頂したら引き返して行く. わしらは縦走プランなので, そのまま前進.

わりと気温が低く, しかもまっすぐ立てない風. 風に煽られてまっすぐ進めない. 風に巻き上げられたのか, 降って来たのか, 雪が 顔に吹き付けて痛かったり. 当然, そういう状況では目だけ出る帽子を目だけ出してかぶっているわけです. OAKLEY の M フレームはその上から装着することができる. これは非常に具合の良いことで, ゴーグルの上から 目出し帽をかぶると自分の息ですぐに雲ってしまうのだ. レンズ形状も顔の側面まで回り込むデザインで, これも非常に具合が良い.

目出し帽はサングラスとともに, センサー類が集中している 頭部を守る雪山最重要装備の一つだ. フリース素材で ゴアテックスをラミネートし, 息を吐き出す穴が開いているものが凍り付かず, 風も通さないので良いようだ.

途中で止まってチェックしたときにイノクマの顔の左側面が凍結しているのを 発見. 他のメンバーは問題なし. 目出し帽の具合がイマイチで眼鏡が曇るので, 顔を出してたらしい. ここは難しい判断だったが, そのすぐ先に森があり, 途中にコケても落ちるような ところは無いので, 多少眼鏡が曇っても顔は出さない方が良い. 樹林帯に入ったところで休憩し, 再チェックしたときには 凍結も治っていた. 凍っていた時間が短いので問題なさそうだった. 森の中はさっきまでの突風が嘘のように静かで暖かい.

天気は悪くなっていて, 雲が下がって来ている. 一方, 下界は晴れていて, 街がよくみえる. これは非常に強い冬型になったときのパターンで, 雲の中は猛烈な吹雪だ. こりゃちょっと, 縦走を継続するのは難しいかもしれない.

とりあえず硫黄岳に登る.

途中でセキが討ち死に. どうも, 強風と荷物と高度で消耗しきったらしい. いくら呼吸しても息切れが収まらず, 呼吸筋が消耗してしまったという. まっすぐ歩けない/立てないというのは, 呼吸のペースも乱されるわけで, かなりしんどいのだ. それにしても, 岩の風下で顔を手で覆ったまま 地面に横たわって動かないというのもヤバいので, なんとか起こして山頂まで行き, 山頂の非難小屋に.

小屋は入口が雪で埋まっていたが, 木下のシャベルとわしのピッケルで掘り出す. 当然, 中には何も無いが, 風が無いというだけで ずいぶん快適だ. 何にも無い真っ暗けの小屋 (といっても, ギリギリ座れる天井の高さ) なのに, 入った瞬間, 「おー!暖けー!」という声がでる. 中には何も無いはずだが, 何故か中に入るとあっというまにサングラスが曇った. 自分の体温と水分だろうか. それにしても, 八ヶ岳ふぜいで本格的な冬山が味わえるとはね. 中で食事をしながら, これからどうするか相談する.

予定しているルートは岩場とヤセ尾根の通過があり, 落ちたらわりと助からないが, 技術的には問題になるところは無い. しかし, まだ登りがわりとある上に, 強風と低温を考えると全員の通過は難しい. といっても, パーティーを分けると 2-2 か 1-3 になってしまうが, 天候を考えるとどちらの編成も問題が多いので, ここは下山が現実的な選択だ.

下山で道を間違える. 間違えたのは俺だ. 笑. こういうことがあるから, パーティーを分けるのは慎重にしないとな.

そのまま通常のテント場で寝るのもアホらしいので, 小さいピークに登り, そこに張る. なかなか良い眺め. 一応, ピークということで, アイスアックス 2本を対角線に打ち, テントを固定する. マジで吹いたら, こんなの全然ダメなんすけどね.

予定した行動をとりやめたのと, 昨日寝すぎたので, まるきり体力的に余裕で, アホな話題で盛り上がって全然寝ない.

テントも完全に雲の中に入り, 雪が少し積もった. まわりの風景も全く見えなくなったが, 風は無かった. 夕食は, またもや自作ミートソースのスパゲティと フカヒレスープ, ソーセージ付き. ここで燃料がギリギリであることが発覚. さらに, バーナーの調子もおかしいことが発覚. テントの中で分解してみたところ, 気化部にガソリンのカスが思いっきり詰まっておる. ダメじゃん. 一応, 動いたので助かった. 久々に大きめの荷物を背負ったので肩が筋肉痛になって 夜中に一度起きた.

朝 6 時に起き, 朝食. キノコのスパゲティ. レトルト. 今回, 全てのスパゲティソース, パン, チーズ (乳脂肪 60% のブリーチーズ) , ソーセージが凍った. ソースは四角く平らな形のまま凍っていて, 溶かして温めるのは ちょっと面倒だった. 凍らなかったのは, ガソリン, ウィスキー (アルコール 57度). 気温はどうだったのだろう. わりと寒かったのかな? 寝袋を替えたので, わからんよ. テントの中の様子を見てる限りは, いつもと同じくらいかな. -10度前後.

さっさとフロはいって帰宅することにする. 下山に 90分. フロは 500円.

帰りは, いつも抜かれてむかついている「あずさ」で帰る. イノクマの調べで, 4人だと, 「あずさ」回数券が使えるのだ. しかも, これなら普通電車よりも 600円高いだけなのだ. 茅野駅売店でうまい弁当「元気甲斐」を売ってたので, 買う. 12h28m の電車で, 14h40m 新宿着. マジではえー.

それにしても八ヶ岳は風が強いねえ. 今回のメンバーは美術部探検隊 最精鋭部隊だったわけだが, それを撃退するとは侮り難いものがある. 今回のプランは悪くないので, 次回は 逆コースでズバっと抜けたいところだ. つうか, アイスクライミングと違って縦走は天気次第なんだけどな.

しかし, 自転車はすげえ体力がつきますね. なんせ, 今回, 全然余裕で, すげえ具合良かったですよ. 尻と腿が強化され, 使う筋肉がほとんど同じというのも 良いです. しかも, 雪山はあらゆる軽量化が重要だが, 自分が軽量化されるというメリットもでかい.