上荒井アイスクライミング(2005/12/25)

何年かぶりにクラブの集会、じゃなくて忘年会に出席したら、 半分くらい知らない人だった。 その初対面の一人小川さんという人と、 ちょっと氷でも行きますか、ということになった。 3連休だから混んでるところは大変な事になってるはずで、 阿部さんに相談したら、 甲斐駒周辺の沢なら 空いてるし最近冷え込んでるから凍ってるだろ、 という判断で、 そっちに決定。 緑山岳会に入ったばかりの近藤氏に声をかけてみたら、 行くというので、計3名で俺は3年、2シーズンのブランクを経てのアイスクライミング。

上荒井沢は近年新たに発見されたエリアだという。

林道の終点(崩れてその先は通れない)まで行き、テントをはる。 着いた日は結局朝4時まで飲んでて、起きたら10時。昼ごろ出発し、 10分も歩くとひとつめの滝が対岸に見えた。 氷の量が不十分で非常に難しそう。 落ち口付近には大きなスズメバチの巣がある。 まぁ、今は冬眠していて出て来ないだろうけど。

そこから堰堤を一つ越えると右岸にクリスマスルンゼというルート。 ここは非常に氷が薄そうで厳しい感じだ。 全般的に氷の量が十分ではなく、登れるルートはあるのかな?とおもいつつ その奥のイワザルルンゼを偵察。 こちらは沢の右岸に貼り付くように傾斜の強い薄い氷があり、 これを登る事に。キカザルフォールというらしい。

ここはまず小川さんが先行。 氷が薄いということもあって、岩場に沿った変化に富む形状で、 面白い。核心は誰が見ても最上部70cmほどの太さの氷柱。 これをぬけると終了点が木でとれる。 小川さんは確実さを重んじる堅実なスタイルの登り方で、 ビレイする方も安心だ。

氷(というかアルパイン自体)初めてという近藤氏は、 フリーなら5.11を登る剛腕で、 氷は初めてとはとうてい思えぬスルドい動きで強い傾斜のところも楽勝で越えて行く。 やはりフリークライミングは重要だなぁ。

ここを一人3本ずつほど登ってこの日は終了。 久しぶりの割りにはけっこう登れたかも。 アイスアックスがほとんど打ち直さずに決まるので、 そのおかげですな。

一旦韮崎に下りて、買いだし。スシだのサシミだの買い込んで、 飽食大宴会モードに。 夜のメニューは、

いわゆる、山来て体重増えて帰るパターン。

その日は夜半から雪が降り、非常に暑かった。シャツいっちょう、 寝袋の入口も全開で寝るが、 とにかく上半身全部ひどい筋肉痛で、よく寝られなかった。弱り過ぎ。

翌日は8時頃起きて、鍋の残りにほうとうとナベのタレを投入。 朝から腹いっぱいだ。

今日は昨日やらなかった、クリスマスルンゼというのをやってみる。 ちょっと調子が出て来た気がするので、俺がリードしてみるが、 とにかく氷に昨日降った雪がかぶってて、全然厚さが判らない。 出だしでいきなり左アックスを石にぶつけ、 一本目にとったアイスピトンも2/3ほどはいったところで岩に当たってしまう。 先が思いやられる。

傾斜がたいしたことないので、あまりピンを持って来なかったのだが、 氷が薄くて信用できないので、 ランナウトが心理的に辛い。 なんせ、どこに打っても一番短いアイスピトンが途中までしか入らないんだ。 とにかくピンが無いから間はトバすしかない。 石にぶつけたアックスは非常にひっかかりが悪くなっていて、 ピンの間もあいてるので、 ショボい傾斜なのにけっこう辛い。

上部の氷柱まで来た。さて、どこを登ろうかな。 とりあえず一番氷がありそうなまんなか左を行こうかな。 3歩ほど登ってみて落ち口を見ると、氷が薄くて非常に厳しそう。 こりゃとても無理だと思った。

氷柱の左端にアイスピトンで穴をあけて、スリングを通して 終点にする。こんなの本では見た事あったけど、 実際にやるのは初めてだよ。 なかなかうまく貫通してくれず、 一回失敗して、2度めでやっとうまくいった。 降下は、右手アイスアックスをしっかり打ち込んで、腰のATCは完全にロープを ロックする状態にして氷柱の穴に全体重をかけてチェック。 とはいえ、これで氷柱が持たなければ、大落氷は確定だから、 アックスのビレイなんて一発で吹き飛ぶわけだが。 新しい氷柱というのは意外なほど脆く弱い場合もある。 降下し始めはロープの流れの関係で支点に衝撃がかかりがちで、 途中、ランナーは残してあるとはいえ、かなり恐ろしく、 俺にとってはこの降下が本日のメインイベントだった。

せっかくロープを設置したから、というわけで、 氷が薄くて傾斜が緩いというアレげなルートを一本ずつ登り、 俺が回収に向かう。回収は支点のビナとスリングを抜き、 代わりにロープを通して降下。もうこの頃には相当の荷重にも耐える 頑丈な支点であると証明されていたので、 安心して下降できた。 結局、ここでは全員がアックスで岩を叩いてしまったのだった。 ガッカリ。

この厚さでこの辛さでは、とても下のトリコルネは無理なので、 昨日登った沢で今日も遊ぶことにした。13時頃移動。 今日は先着パーティーがあり、 俺らが登ろうか、といってたルートのすぐ下のナメ滝で 確保とリードの練習をしている。

しょうがないので、昨日と同じ氷をやる事に。 今日は俺がリードして支点を設置。 小川さんの意見で、同ルートではなく、 一本左の氷柱を登れる設置にした。 フォローで彼が回収しながら登って来る。

今にして思えば、一番上のピンを残すか少し上に打ち直して、 左右両方で遊べるようにしてもよかった。 ブランクがあると、こういう段取りのところでもヘボくなるもんですな。

氷柱を何回か登って最後にその上のかぶった岩のクラックを、 ドライツールテクニック風味で無理矢理に小川さんが登って支点まで行き、 回収して帰還。

久々のアイスクライミングで魂がとてもよく癒された。 次は左岸のトリコルネという大きいルートにいこうと思う。