アイスアックス


アイスクライミングでまず目につく道具はアイスアックスだろう。アイスクライ ミングでよく使われるアイスアックスは、いわゆる「ピッケル」と呼ばれるもの とはかなり異なった形をしているものが多い。このため、アイスクライミング用 のアイスアックスの用途は、垂直の氷壁を登るためのみであるかのような誤解が ある。

極端な長さのものを除いて、アイスクライミングで用いるアイスアックスは、そ の他のたいていの用途(縦走やミックスクライミング)にも用いる事ができるし、 また、そのように設計されてもいるのである。このような、登攀を主眼に設計さ れたアイスアックスは、より伝統的な、あるいは、保守的な設計の製品よりも、 クライミング全般において使いやすい事が多い。アイスアックスにも、奇を衒っ た、おまけとわずかな改変で人目を誤魔化す ような製品があるが、注意して観察すれば、そのような製品はみわける事が出来る。

私が使ってみてこれは良いと思えた製品は次の通りだ.

  1. charlet axer, quark
  2. simond piranha, naja
  3. mizo 北辰

他にも優秀な製品はあるが、わしは使った事が無いので何とも言えないのだ。

これらの製品に共通して言える事は、

  1. 極端に重くない
  2. 剛性が高い
  3. グリップが細い

ブッチギリの新製品も良いが、そういう選び方は、どっちかというとエキスパー トのものだ。なんせ、壁の中で調子がおかしくなったからといって、いまさら 「やっぱり帰る」 というわけにもいかないからな。

間違いの無い製品を選んだら、次は改造だ. とりあえずピックの研ぎだ。 経験上、刺さりの良さは、おおむねこれ次第である。研ぎがへぼいと、全く刺さ らず、刺さったら抜けず、あるいは勝手に抜けて、全く手に負えない。泣けてく る。おおむね下の図のように研げば良いのだ。買ったままでは全然使いもんにな らん。

ピックの研ぎ方

ピックの研ぎと同じくらいに重要なのは、リストループだ。極めて強い傾斜の氷 を登るのであれば、これの重要性は強調しすぎる事は無い。本体よりも重要に思 えるくらいだ。

これにもいろいろな製品があるが、ズバリ言って、使いものになるのは、捻 り式のやつだ。現在、Black Diamond と宮崎ホイホイの2つがある。わしは BDの製品を使っている。手首を締めたり緩めたりが、アイスアックスを握ってい る方の片手だけで、ピックを氷から抜く事無くできる。という利点を完全に備え ているのは、この方式だけなのだ。しかも、濡れて凍っても全く問題無く使える。 使っているうちに緩むという事もない。ここに挙げた性能は、どれも厳しいクラ イミングで極めて本質的であるが、それらを完全にちゃんと満たすのが捻り式と いうプリミティブなやりかたしか無いというのも、ちょっとアレですな。 いずれにせよ, リストループに関しては、特別な事情が無い限り、宮崎ホイホイか、 BD のツイストアックスリーシュを使うのがいいでしょう。

なお, BD のツイストリーシュは 2002年現在, 製造されていないようですが, ロボリーシュという似た製品が出ているので, これが使えます. 手首を締めるしょうもないギミックが付いてますが, それを切断, 除去すればオッケーです.

シャフト末端あるいは石ヅキに、穴があいてて支点に使えるようになっている。 この穴は非常に有用で、あらゆる場合にここからぶら下がる。だから、穴があい てるだけでは十分とはいえない。5-7mm の紐で輪を付けとくと使い勝手が良い。

他にもシャフトの軽量化やヘッドにウェイトを追加したりと, いろいろな改造があるが, それはある程度使ってみてから考えれば良いでしょう.