私もまた獣人生(2006/02/13


獣の人生

私の誕生日にクランポンをプレゼントしてもらうというのはどうなのか。

それが charlet の dart というのはどうなのか。

その場で革靴も買ってしまう俺は何なのか。

買ったら登りに行きたくなり、 誕生日なのに、そして風邪をひいている妻を放置して、 速攻で氷を登りに行くというのはどういうことなのか。

帰って来たら妻はとても怒っていた。当り前ですね。

非常に反省させられた週末だった。 もうこういう事はしない。

足の北辰

ということで、足が、いままで scarpa のプラ靴だったのが、 おなじく scarpa の革靴になり、 クラムポンは kajita の xb-12 だったのが、 charlet の dart になった。 それで、さっそく湯川にいってきた。 湯川というのは八ヶ岳の東にあって、 わりと傾斜が強く、ツララ系の氷で、 しかも車のわきにトップロープの支点があるという奇特な氷ゲレンデである。 懸垂してトップロープ張ってそのまま登ればアプローチ10秒だ。

今回の同行は JECC の横山さんとかたつむり山岳会の岩橋くん。 岩橋くんはユキリン実業団で BR-1 だった剛脚なのに、 何故か冬山を始めてしまい、このほど俺と氷を登りにいくことになったわけである。

横山さんは名古屋のサイトウさんと11日から先行して現地入り。 俺らは11夜に岩橋号で海ノ口の役場の駐車場で車ネリ。 岩橋号はアウディの4駆で、しかも メーターに時速300kmまで書いてあるスーパーカーだ。 それなのに余裕で凍結した林道も登るんだ。すげぇぜ。

岩橋くんに先に下に降りてもらう。 上からは氷が見えないから、どこにロープ垂らせばいいか判らないのだ。 下から見てもらってトップロープ設置。 そのままそのロープで懸垂して登攀開始。

さて、今回は靴に scarpa の cumbre でクランポンに charlet の dart をおごったので、そのテストでもある。最初は使い勝手がよく解らず、 踵をあげすぎて滑べる事があったが、徐々に掴んで来た。

掴んで来ると判ったこと。

一本デバは、かなり違った技術を要求される。 まず、絶対に2列めの歯も効かせること。これが重要。 2列めが効くと、良いフリー靴できっちり摩擦が効いてる足場を拾ってるような 安心感がある。 つまり踵を上げたら全然ダメ。 要するに足のアイスアックスなのだから踵をあげるのは アイスアックスのシャフトをカベから引き抜く方向に引っ張ってるのと同じで、 そんなことをすると抜けて足が滑べるのは当り前だ。 これは昔のクランポンでも事情は同じだが、 違いが2本横デバとは比較にならぬシビアさだ。

それに、そんな気合い入れて蹴ることない。 プラ靴とカジタの時代の刷り込みで、下段回し蹴りの要領で思いきり蹴飛ばすクセが ぬけない。 軽く足を置けば、アイスアックスが効くところと同じところに足も効くのだ。

技術と身体能力を遺憾なく発揮できる作りです。 プラ靴にリヂッドのタテづめクランポンでは 道具に登らされている感じですが、 今の構成は登っているのはあくまでも俺様です。 だから、クライミングが楽しくなります。 裏をかえせば、先立つ技術と身体能力がなければ、この道具にしたからといって同じです。 べつにいままで登れなかったところが登れるわけじゃない。

特に面白いと思ったのは、 想像力次第でいままではありえなかった動作が可能になるところだ。 これは、独特なポイントの配置のたまものだ。 dart は在来のクランポンと3列めの歯の配置が異なっていて、 2列めと同じ場所から手前向いて生えてる。 このため足の裏で氷をひっかけて引き付ける動作がうまくいく。 足場を外エッヂ、内エッヂで拾うのも具合がよろしく、 バランス保持やリーチを伸ばすときに、 昔ながらの画一的な氷壁登攀動作の枠からはみ出した、 自由な動作を可能にする。 だから、登っていて非常に面白い。

おそらくこれによってより難しいルートを登れるようになるとは思うけれども、 それは本質的ではない。自分の行える動作の選択範囲が 拡大するところがキモ。

横山さんはリストループが無いシモンのアックスで、 非常に難しいツララに挑んでいた。 俺もロープ借りて一本やってみたが、 一本登ったら腕が完全に終ってしまった。 彼女の足は、 dart をネジどめした専用靴で、 全面的に氷専用装備であった。

岩橋くんは溝さんから北辰2本買ったそうだ。 よく刺さるのでごきげんだった。 彼も dart が欲しくなっていた。

足裏に雪ダンゴがつくのを防ぐアレを、 自作してくっつけることにしよう。材料は何がいいかな。 PET かな。 ポリカかな。

靴も、非常に具合良かった。 踵も浮かないし。 足首が軟らかいのはありがたいはなしで、 Chouinard の本にでてくる flat foot の技なんて、プラ靴じゃ絶対できん。 それに、なぜか足首が軟らかいのにツマ先のフロントポイントで立ち込むのは楽だった。 力の無駄が少ないからだろうか?

そういえば、横山さんと一緒に登ってた二人のうち年配のかたに、 「登り方がキレイ」といわれた。照れるぜ、うふ。

対決全面戦争 自転車v.s.アイスクライミング

靴の底にクラムポンがついたまま取れない、 というのと、 靴の底にペダルクリートがついたまま取れない、 というのはどちらが非実用的だろうか?

クリートがついたままでも大抵は歩けるが、 クランポンついたまま歩けるところは冬山だけだ。 だから、氷専用靴の方が非実用的である。

よってアイスクライミングの勝ち。

だが、氷河期になったらこの判定も逆転するだろう。

妻が「Lord of the Ring」のファンで昨日もビデオを借りて観てたのだが、 あれに出て来る連中ってホント、氷登ってる時の俺だな。 妻もそう思うらしく、登場人物がヘルメットぬぐと、 「うぇ。クサそう」と述べています。

最近の鳥

庭の柿の木がムクドリに目をつけられて、 あっというまに殲滅されてしまった。 群れでやってきてえらい勢いで食べる。 この木を縄張(?)にしていたヒヨドリが居て、 ムクドリやスズメが来たら追い払ったりイジワルしてたのだが、 それも全くなす術なし。 諦めて一緒になって柿食ってた。

そして、 今ではシジュウカラやメジロがズタボロになった干し柿状態のを 間欠的につつく程度である。

お誕生日

2/11は俺様の誕生日にして紀元節である。

これで39になったわけだ。

ばかぼんパパが41だったと思うので、 あと2年は頑張ろうという決意を新たにした。


過去の落書きリスト