「動画」をかんがえる(2006/09/21)


2006/09/19

自転車で、整体経由会社。

整体のつかもと先生に、リハビリの要点を伺う。 とにかく動かせ。 なぜなら、動かさないとどんどん固まってしまうから。 そして、多少は炎症になるから湿布。 湿布したまま動かせとのこと。

ぐりぐり動かしてもらったところ、驚異的に動くようになった。 なんせ、もう、下ハンも届くもんね。

それ以前に、肩関節のあれやこれやを気にせずに 好きなように好きなときに好きなだけハンドル切ったりブレーキかけたり ジャンプしたりが素晴らしい。 どこへ行くのも脚まかせ 気ままな旅だぜヨーホーホゥ(なぜか海賊風味)

おくる、しゃくる

ケイリン用語で、ハンドルの設定に関する表現だ。

競輪選手は下ハンを持って乗るので、 「おくる」とハンドルが上を向き、「しゃくる」と下を向くのである。 わしら民間人はブレーキレバーを持って走るので、 用語の感じとそれが表現している状態がちょうど逆になる。

いろいろ

初台バードプラザにて、カラスの本と雑誌「Birder」。

東京ガスのショールームもまわった。 ガスまるくんグッヅでも漁ろうと思ったが、そもそもショールームをやってなかった。

吉祥寺リブロで安田朗が特集されている、 雑誌だかムックみたいなものを立ち読みした。 HMVでBBCの動物ドキュメンタリを探したが、欲しいやつは無かった。 谷口ジローのシートン動物記「狼王ロボ」買った。 子供の頃、これを読んで泣いた。 いままで本読んで泣いたのはこれだけ。 非常に良い話なのだが、とにかく、せつないというかやるせないというか、 理不尽というか、そういう強い感情をひきおこす話だった。 まんがのはどうかな?

小学生の頃、シートン関係のものを集めた展覧会というのがどこかであって、 家族で見に行った。 ロボの毛皮というのがあった。 その後、そういう遺品みたいなのを集めて展示していた建物が 焼けてしまい、 ロボの毛皮も無くなっちゃったとなんかいう話を噂か報道かで聞いた。 なんてこった。

読んだ。

ぐわー。 泣けるぜ。 マンガよんで泣いちゃったよ。 ロボ悲しいよ。悲しすぎる。

妻にも「読め」といったが、彼女は非常に正確に話の内容を記憶しており、 「すげぇ悲しいから絶対ヤダ。読まない」とぬかしやがった。 それにしても、非常に正確に内容を記憶していたのには恐れ入った。 おそらく、ストーリーの肝にロボとブランカのラブという要素が含まれているためであろう。 さすがラブ属性。

雑誌「Birder」は面白いな。毎月買おうかな。

カラスの本は、カラスの脳の研究も紹介されており、 かなり面白かった。 著者はここの研究室の先生。 脳の組織は人間などホニュウ類とは異なるものの、 似たようなカラム構造が見られる事と、 抽象的な概念を相当程度理解操作している様子が伺えるところが、 非常に面白い。

動画

最近ありがちな時間の潰れ方(潰し方ではなく)としては youtube でぼーっと見てるとか、 wikipedia をぼーっと読んでいるとか、 そんな感じです。

ところで、 youtube といえば動画です。 インターネットで動画を配信などとほざきはじめてもう何年くらい経ちますかね。 俺様などもダイヤルアップの時代から、しばしば NASA の Dryden 航空研究所で X 計画やらなんやらの 動画を閲覧していたものですが、 まさかこういう展開は予想していませんでした。 非常に面白いですね。 もう、 youtube と google と wikipedia だけあれば、 あとは要らんという印象すらあります。 そんなことありませんが。

ところで、動画と申しましても、実は画は動きません。 いまさらですが。 普通の画像が続けて何枚も表示されるから動くように見えるだけです。 この「ように見える」というところがキモです。 視覚情報の処理においては、 時間分解能みたいな限界があって、 これを超えた細かい動きは静止画像処理モジュールで区別がつかなくなるために、 脳内の運動情報処理モジュールに送られるようになります。 こうして静止画像が動いているように見えるわけです。

視覚情報のうち、動いているものを専門に処理する部分が 脳内に別に設けてあって、 これが動きの先や前を適当に補完しながら視覚情報に含まれる運動成分を 処理していきます。 とんでくるボールを受け取れるのもこのおかげですし、 時間分解能を超えたペースで連続して表示される静止画が 動くように見えるのもこのおかげです。 感覚的にいえば、運動解析モジュールは精妙なアナログ回路ですね。 動きを、ちょっとベクタデータぽい「動きオブジェクト」として処理している感じです。

このモジュールがいかれると、世界が紙芝居状態になることが知られています。 家のなかに居ればあまり問題になりませんが、 道を渡る時なんかは非常に危険です。 クルマの「動き」が全く読めないからです。 もちろん、つべで配信される動画も動いて見えません。

というより、実際に脳内に配信されてくる情報は、 運動処理モジュールが生きていようが壊れていようが、 せいぜい紙芝居くらいのペースということなんですね。 じゃあそれが動いているように見えるのは何かというと、 コマとコマの間を運動情報処理モジュールが補完してるおかげです。 見方を変えれば、 この、運動処理モジュールの働きがあれば動くように見え、 無ければ、秒間何十コマ描こうと動くようには見えない。 情報を運動処理モジュールに送らせるために使う手口の一つが、 場面を秒間24コマなり64コマなりのペース描く事により、 静止情報処理機能の時間分解能をオーバーフローさせて殺すというものです。

運動処理モジュールの主な目的は動くものの予測ですが、 これをどうやってやるかというと、 これまで経験した知っている運動と、 (運動がしばらく続いている時は)これまでの状況を組み合わせて、 これを入力と照らし合わせる事で行います。

うまい入力をうまいタイミングで与える事ができれば、 たとえ 時間分解能にひっかかるほどコマをはしょっていても、 つまり、圧倒的情報量で静止画像処理機能の時間分解能をオーバーフローさせるという Brute な手口を使わなくても、 運動処理モジュールが静止画像認識能力をオーバーライドしてしまうほどの、 強力で鮮やかな運動オブジェクトが生成されます。 こうして秒間8コマしか描いてなくても、 目が慣れてくれば画が動くわけです。 優秀なアニメータは運動処理モジュールをノックするにはどうすればいいか、 よく知っていて、 そういう画を描くことができるわけです。 これこそがスゴ腕のアニメータの仕事です。

最近のブロードバンドでは、 圧倒的情報量で静止画像処理機能の時間分解能をオーバーフローさせるという Brute な手口を実現するためだけに、 高速なデータ通信が使われているわけで、 そう考えるとなんだか間抜けでどんくさい話ですね。

ところで、視覚の時間分解能が非常に細かい生物には、 人間には「動画」に見えるコンテンツも「連続する静止画」に見えるわけですね。 視覚は光を神経パルスに変換するのに化学反応が介在するため、 どうしても時間応答性にすぐ限界が来てしまいますから、 生物によって大きな違いは無いかもしれませんが。 運動処理モジュールが別だてに用意されているのは、 こういった限界を補うためもあるでしょう。


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