書評:食べられて(2007/09/12)


書評:食べられて

少し残念に思ったのは、 この研究の動機の幾分かを担っている アングロサクソン的偽マッチョ指向なキリスト教的倫理観に基づく 「狩を専らにする不吉なプロト人類、特に雄」という感じの人類史への アンチテーゼという要素が、 どの章にも顔を出しているという構成です。 一般書とはいえ、学術論文への参照や注釈を備える体裁になっている以上、 こういう要素は導入に少々風味をつけ、最後に余録的にまとめて、 あとは事実関係の記述と、その対比や解釈に専念する、 といった構成のほうが好ましかったように思う。

なにはともあれ、 今の人類も、すなわち現時点でも、 他の動物からはおいしい獲物としてけっこう見られていて、 夜や森の一人歩きなんてもってのほか、 という地方がけっこうあるというのが圧倒的に面白い。 BBCの「鳥のくらし」にも出て来てサルを樹からかっさらっていった african crowned eagle (カンムリクマタカ)が、人の子供(7歳)を襲った記録とか。 すなわちわしらは、 鷲から見ても餌! 鮫から見ても餌! ワニにしてみりゃ餌! 大きなネコにとっても餌! オオカミから見ても餌! 圧倒的に狩られる側! ウヒー。 余談だが、カンムリクマタカの雛は、ものすげぇかわいい。

それはさておき、昔はそんなに珍しい事でもなかったし、 今の人類になるまえなら、それはメジャーな死に方だったわけですが、 他の動物の食事として一生を終えるというのも、 なかなか味わい深い死に方です。 だってそうでしょう。 もう、おれらを狩る奴なんて居なくなってしまい、 どこを歩いても、どこで泳いでも安全なんて、 そんな地球はとても寂しいし、くだらない。 やっぱり、腰ぬかすくらい、すげぇ奴が居ないと。 人を襲う鳥が居るなんて、やっぱりこの地球は凄い。捨てたもんじゃない。 というような事を思った。

絶滅種の記事をいろいろ見てたら、 俗称サーベルタイガーのスミロドンが10000年まえまで生きてたというのを知って 驚いた。

いや、実際、そういう事故が多い地方ではロマンもへったくれもなく、 けっこう切実な現実なのですが、2ちゃんねるの野鳥板に、 「最強の鳥はカンムリクマタカ」とかなんとかいうような、 へんてこなスレがあって(過疎板だから今でもあるかも)、 そんなロマンを若干共有した、私であった(←最後は クロスオーバー イレブン風に)。

数値と数字

世間でいわれる「数字」の大部分は、「数値」という意味です。 数字にはいろんな種類がありますが、数値は一種類です。 「二」も「2」も「2」も「弐」も「II」も「10」も、 全て異なる数字ですが、 同じ数値です(最後の例は2進数です)。

記号を表現内容と自然に同一視するのは 記号本来の機能なので違和感は全く無いのですが、 記号全体を指す一般名詞を、表現内容全般と同一視するのは、 何だか変だ。

つまり、こういう事なんだ。 我々が登るのは坂や崖などの地形であって、等高線じゃない。 それなのに、「数値」ではなく「数字」を問題にするとはなにごとだ。

なんか解りにくいな。すまん。

言語のえらびかた

どんな言語を選ぼうかな、という時の私の基準。

ドキュメントに掲載されている例題を見る。 その例題が適切だったり、面白くて興味を持てるものだったり、 スルドい内容であれば、 その言語はスジの良い人が作り、頭の良い人が使っている。 だから、おぼえる価値がある。 これに対し(以下同文

2007/09/12

Japanese prime minister resigns だって。

この件は、何が問題なのだろうか。少し考えてみよう。

彼は、自分より上の者は居ないという立場にあるわけだが、 この行動からはその自覚が感じられない。 これが問題なのである。 それがこんな形で明らかになったのは、 非常に恥ずかしい事でもあり日本の歴史の新たな汚点だ。

べつに総理大臣は辞めちゃいかん、という事はない。 その理由も、別に何でもいい。 「イヤになったから」「やる気が失せたから」でも全然構わない。 ただ、辞める時は、 少なくとも半年まえにはスケジュールを明らかにして、 後からやる人が困らないように きちんとすべきだ。 それがトップというものだ。 会社ですら役員は後任が居ないと辞任できない。

健康問題がどうとかいう報道があるようだが、 これは彼の場合は残念ながら辞任の理由とはなりえない。 彼が本物の右派でナショナリズムの高揚を考えているのなら、 在任中に死ぬ覚悟があったはずだ。 個人の財産や生命よりも国家の名誉が優先する、 そういう国を目標としている人物が、 国家より自分の健康を優先するのは筋が通らないからだ。

つまり、こんな恥ずかしい奴が首相だったということで、 わしら国民全員、恥をかいたのである。 外国では政治の話なんて、天気の話と同じくらい普通にでてくる。 そうなるとどうしたってこの話題は避けられない。 考えただけで背筋に冷汗が出るよ。

やれやれ。


過去の落書きリスト