プロファイリングといえば(2008/02/17)


2008/02/14

今日は先日までの反省を活かし、 コンピュータを動かしても、研究の計算と文書閲覧だけを行い、 一区切りがつくまではメールを読んだり関係無い記事を見たりしなかった。

朝は一番、集中力が高まっている。 だから朝食とデザートをとり、コーヒーを飲んだら、 一段落するまで考えるべきだ。計算は 自分の担当する分だけをやるほうがいい。 コンピュータに計算してもらうところは、 自分で考える分が煮詰まってからが良い。

というのは、コンピュータに計算してもらうためには、 いろいろと調べたり作業する事が多いわけです。 コンピュータに計算してもらう、という事は、 単に計算が終ればよしとするのではなく、 やはりエレガントに計算が進行するよういろいろと工夫を凝らしてしまうものですが、 それは、その計算を発注した人(自分ですが)からすれば、 はっきり言ってどうでもいいわけでして。

研究はクライミングで言えば新ルートの開拓ですから、 それなりにテクニカルに困難な部分(クライミングでいえばピッチですな) が、同僚からの尊敬を集める上で必要とされるのであり、 そういうピッチを突破する上で必要になるのは、 やはり第一に自分の集中力です。 しかし、その部分の困難さやそれを解決する手法の価値などは、 世間との相対的な関係において決まりますから、 そういった周辺情報を押えておく事は、 成果として世に問う上で問題自体に集中してこれを解決する事と同等か もしくはそれ以上の重要性があります。

とはいえ、先立つものが無いところに周辺情報だけがあっても意味不明です。 ダイコンとワサビとショウユがあって刺身が無いのと同じです。 それに、ものごとにおける根本的な動機を忘れてはならないでしょう。 何故研究をするのかといえば、 それは、 その時点では自分にしか突破できないような、 そういう困難な部分を解決して 知的成果を自分が最初に享受するためです。

つまり研究者というのは、欲望が仕事と直結している、 という意味において自給自足の狩猟採集生活と同じです。 何か他の事をすることで対価を得て、それにより欲望を充足する 労働という抽象化プロセスが介在しません。 脚や腕を折ったり病気になったら、 狩猟採集生活が成り立たないのと同じで、 自分の集中力がそのまま、 ビジネス用語でいうところのコア コンピテンスです。

絵画の見かた

Kenneth Clark といえばイギリスの美術研究者ですが、 私が彼の名前をおぼえたのは、 彼がボッティチェリの手になるとされる聖母子像を、 「1920年代の女優のような作為を感じる」として贋作と見抜いた というエピソードがきっかけでした。

西洋美術史が趣味のくせに、彼の著書を一冊も読んだ事がなかったので、 「絵画の見かた」をこないだ買ってみた。 まだ読んでいる途中なのだが、この本は、わりと面白いと思った。 他にも面白い本が幾つかあるようなので、こんど梅田に行った時、 探してみよう。

非常に面白いと思ったのは、画に描かれた対象物やその作品で使われた表現、 画家の動機、身に付けている技法といったところから 出発して議論が展開するという事です。 プロファイリングといえば実行中のプログラムの処理時間やメモリの使い方を 調べるアレですが、 犯罪捜査においてもプロファイリングというものがあるそうで、 個々の事例や周辺情報から行為者の人柄などを推定し、 その推定に基づいて、捜査を展開する方法です。 これとケネス クラークの研究手法との間に、 私は共通点を感じて非常に面白く思った。 むろん、彼は「モンティ パイソン」でネタにされるほどの 比類なき教養人であり、この本も例外なく格調高い蘊蓄がふんだんに盛り込まれていて、 それはそれで楽しいのだが。

犯罪捜査ではそういう手口が通用するような事件ばかりではないわけですが、 やはり歴史的に評価されるような作品を残した画家は普通ではないわけで、 無論、研究者の資質におおきく依存はするものの、 これは美術史では普遍的に通用する、更に言えば重要な画家であればそれだけ 有効になる手法なのかもしれません。 特に、彼はレオナルドの研究で知られているそうで、 なるほどその手法が最も効きそうな画家がレオナルド、 いやむしろレオナルド研究の中で培われて来たのがこの手法なのではないだろうか、 なんて具合にクラーク卿をプロファイリングしてみたり。

そう、美術史の何がおもしろいかというとですな、 つまりこれは歴史といいつつ実は犯罪捜査なんですよ。 作者不詳の作品の研究なんて、要するに「犯人は誰か?」という事です。 しかも、犯罪は大概、気分のよくないものですが、 美術史では比類無き才能が視覚芸術として結実したものを扱うわけで、 すなわち見て楽しく読んで面白い。

身近な自然

じょうびたき。redstart

左が雄、右が雌。この雌は、うちの団地でよくみかける個体。 でも、雄も居るのは今日知った。この2羽は、わりと仲よしのようだった。

小型ツグミ類は雄に美しいものが多いわけだが、 ジョウビタキはこのように、雌がなかなかかわいらしい。 ヰキペディアによると、現在の分類ではツグミではなくヒタキだそうな。

最近、うちの近所は毎日雪が降ってるわけですが、 今日も凄かった。 その雪があがってアザミの水玉。 遠くをハイタカ属の猛禽が旋回帆翔していた。

今日の鳥食堂

最近、ヒヨドリがやってきます。 ものすごい至近距離で、人から2mくらいしか離れていないのですが、 全く気にせずミカンをむしゃむしゃ食べています。 こっちが見えてないわけないのだが、どういう事だろうか。 ミカンだけではなく、時々、脂も食べます。

ヒヨドリは木の実の混じった糞をやたらと落していくので、 餌台の下に植木鉢を置いてみました。 何が生えてくるかな。

シジュウカラは専ら脂が目当てです。

ビジネスのおもいで

中核能力なんていうビジネス用語を私が知っているのに 奇異な印象を持つ人も居るかもしれませんね。 私の身近には、そういった用語を操る人は一人も居ないわけですし。 私に「コア コンピテンス」という用語を教えてくれたのは、 株式会社VSN の役員である川崎氏でした。

ある会議の席で、「御社のコア コンピテンスは何ですか?」 と彼に訊かれ、私は用語の意味が解らず、答えられなかったわけです。 ははは。 用語の意味は彼に訊いたか、その場に居た同僚に訊いたか忘れましたが、 その場で教わって、 「学習曲線です。 すぐに何でもできるようになるところ。」 と答えました。

なんともまぬけである。 ひょっとすると、これがちゃんと商売がいってる会社だったら、 かっこいい答えだったのか? そんなわけねーか。


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