台風を気圧計で眺める (2008/09/20)


2008/09/19

じっくり考えてみるとよく解らない事の一つに、 切断とは何か、というものがありませんか。 切断といってもデデキントの数論ではなく、 刃物で切削加工を行ったりする切断です。

刃物を物に当ててグイっと押せば切れるのは当り前で、 なんでそういう事が起きるのか、という事を 少なくとも私はあんまり考えた事がありませんでした。 そこでこれをちゃんと考える事で、 なんで刃を研がねばならなくなるのか、 どういう刃がよろしいのか、というあたりを考察してみたい。

刃先は尖っています。そして、被切削物よりも硬いわけです。 刃先を物に押し当てると、刃先は非常に小さいので非常な圧力がかかり、 これにより物は変形します。 しかし、刃先は十分に硬いので、その圧力にもめげず、変形しません。 そのうち物の変形が十分に大きくなり、物が破壊します。 これが切断です。 刃先がめりこんで物を左右に広げる事により引っ張りが生じ、 この引っ張りによって破壊が起きる場合が多いでしょう。 引っ張りによる破壊よりも、 塑性変形が刃先でひたすら進行する場合もあるでしょう。

刃先を鈍麻させる要因としては、したがって、 変形と摩耗があるわけです。 変形が特に問題になるのは硬い物を切る場合で、 いくら刃先が硬くても、繰り返し大きな力を受けると、 微小な先端は変形したり破壊したりします。 こうして刃先が太くなってくると研がねばならなくなります。

これに耐えるには、刃先が変形しにくければ良いわけで、 その性質を測定するのが硬度です。 すなわち、硬度は硬いもの(ダイヤモンドとか)を材料に押しつける事で生じる 変形量を測定したものですから、 この変形が少なければ少ない程、刃先は強く、 従って大きな力に耐えます。 これはより硬いものを切削可能という事であり、 あるいは同じものを切ってより長く刃先寸法を維持できるという事でもあります。

これだけ考えると、硬さが高い方が刃物としては優秀、 という事になり、以上。終了。というわけです。

摩耗という現象は、これまたなかなか深いので簡単に論じる事はできませんが、 切削工具の場合は、摩耗を防ぐ有力な手段として地の組織に含まれる 非常に硬い炭化物や窒化物が知られています。 これが、作業中に刃が削り取られるのを邪魔します。 これらの要素が微小な切先の維持という機能にどれくらい役立つのか、 というところはいまひとつ掴めないので、今回は摩耗は考えない事にしましょう。

さて、理屈の上では硬い方が良いという結論が出ましたが、 実際これはその通りで、日本の在来木工工具の多くは 材料こそシンプルな組成の炭素鋼でできていますが、 特殊鋼で作られた鉄工用工具類に劣らぬ高い硬度を持っています。 木は我々が手で切削する材料のなかでは最も硬いものの一つですから、 これは当然のなりゆきです。 硬さだけ比べたら、ラブレスの一本鍛え如き、まっぷたつにブッた斬れるくらい違います。 炭素鋼でこれだけ硬度を出すともたないので、 日本の刃物の多くは手持ち工具としての信頼性を確保するために、 非常に硬い刃先を地金でバックアップする複合材料となっているのです。 その筆頭は言うまでもなく、刀です。

高速度鋼のような切削用特殊鋼は、 単体で十分な硬さと粘り強さを持っているので、 そういう難しい構造にしなくても、 鋭く強い刃が作れます。 しかも、刃先がそれだけの粘りを持ちながら硬さも備えているわけで、 これは非常に便利な性質です。

これに着目し、集成材など難切削材向けのノミやカンナにも近年、 高速度鋼がよく使われるようになっています。 地金が不要となれば刃体を薄く作れるので、特にノミでは 奥まで掘りやすく好評と聞きます。 また、刃欠けはあってはならない事ではありますが、 やはり皆無というわけにもいかないので、 そんな時にハイスは簡単にグラインダで研げます。

ただし、高速度鋼はキレイに鋭い刃がなかなかつかず、 ヒノキの柱をピッカピカに削る、みたいな用途には 昔ながらの炭素鋼の刃が向くのだそうです。 天然の仕上げ砥石で、高速度鋼刃を鏡のように磨き上げて、 カンナの長切れ競技に挑む、なんて記事を幾つか見掛けましたが、 そういうのを見ると、世界最強の刃物文化は今も健在だな、と思いました。 もとより私など遠く及ぶところではございません。

台風を気圧計で眺める

台風が来ました。

台風、いっちゃいました。

グラフのこの曲線、なかなかもえます。

しけんにでないえいたんご

一時期話題になった、「Science」に載った鳥の遺伝情報による 新系統樹の論文を、なんとなく読んでみる。

アホウドリ、ミズナギドリ、アナドリとペンギンが隣に並んでるんだけどね。 ホントかよ。

オウムとハヤブサが隣に並んでて、ワシタカと全然関係無い事になってる、 ってのは、ずいぶん話題になってたけど。

それより系統樹を作る統計処理の技法が面白いので、現在調査中。 まとまったらテクニカル落書(今日のコンパイル)のほうに掲載する予定。

2008/09/20

職場の同僚である湯田くんと大阪に買物。

彼はパタゴニヤでズボンを買い、私は妻の海パンを修理に出し、 日本橋をまわってパソコンの部品を物色し、 ジュンク堂で私はミルハウザーを2冊買い、湯田くんは塩野七生を買い、 またパタゴニヤにまわってズボンのスソあげができたのを受取り、 ハンヅで道具を物色するだけ物色して結局何も買わず、 シンサイ橋筋でスシ食って帰って来た。

電車の中で標高を見てると、生駒トンネルの中が170mくらいあった。 ホントかな。 トンネルの大阪側の出口は標高100mくらい。平地から一気に100m登るわけ。 どうりで見晴らしが良いわけですよ。

ミルハウザーは中山くんの見立て。 ちょっと立ち読みした限りでは、かなり良い。

台風一過、非常に蒸し暑かった。


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