熱処理に出した。
これまで、元住吉の不二越冶金、 大田区東コウジ谷の高橋焼入など真空熱処理の業者さんにお願いしてきたのだが、 今回はソルトバスでやってみる。
ソルトバスで刃物を作る個人を相手にしてくれる業者さんといえばここ、 第一鋼業(ダイイチコウギョウ)株式会社。 ソルトバスとは salt bath であり、すなわち熔融した塩に漬けて、 保護雰囲気と熱伝達をいっぺんに達成するという方式である。 塩は、塩化ナトリウムに限らず用途に応じていろいろと。 いずれにせよ、高温になっても鋼及び空気と反応しないような塩である。 第一鋼業さんでは、ソルトバスの利点を活かした 一品一様の実験的なややこしい処理もどーんと来い、という業態である。 ハイスでできた航空機用のベヤリングなんかも扱っているそうだ。
多分、ソルトバスの一番のややこしいところは細かい穴なんかに塩が入り込んだのを 除去するのが大変だ、という事ではないだろうか。 塩だから洗えばとれるのだが、小さい穴の中を洗うのは大変だ。 熱処理業界で一番大口の需要は、じつは刃物や工具なんかじゃなく金型で、 金型はご存知のとおり、ややこしい穴や溝がしばしば必須なわけで、 真空炉が主流になっている事情にはこういう背景がある。 しかしこれは通常の刃物の場合、問題にならない。
一方、 刃物を作るという立場からの ソルトバスの真空熱処理に対する利点はというと、 加熱冷却(特に冷却)が速いということにつきる。 焼き入れとは結局のところ、冷却と炭素拡散との競争であり、 すなわち冷却が勝てば焼きが入り、炭素の拡散が勝てばナマるのである。 だから、熱処理における高い冷却速度とは、 自転車競技におけるへこたれない脚とか、企業経営における現金(以下同文) 要するにそれは客観的、絶対的、正義なのである。
今回は技術的な事情からサブゼロは無し、焼き戻し温度は高め、 焼き戻し3回として、残留オーステナイトの問題を 避ける処理を構成してもらった。 また、焼き入れでは温度を低めにして切れ味を狙う 手持ちハイス刃物の定石もおさえてある。 久々に新生斬鉄君誕生の予感。
刃が手元に無い間は、鍔を作っていた。鍔をイキってステンレスにしたせいで、 削れなくて往生している。 しょうがないので今日はベンチグラインダを買って来た。 4000円。安っ。 しかしグラインダでも無いと、ステンレスは削ってられんて。 特に SUS304 をヤスリで削るしんどさは異常。
ママレード製造中。
例によって、最終煮込みを火鉢で行っている。いいぞー、火鉢。
ヒジョーに難航中
とりあえず鍔のロウづけは成功したように見える。
しかし柄のボルト穴掘りその他の段取りを間違えて失敗したよ。 おかげで柄材がパーだよ。
しょぼーん
しかし第二斬鉄君の柄は、 なんでこう一切スキ間無く完璧にできあがってるのかね。 どういう段取りで作ったんだろうね。 全く思い出せないよ。 こうなると本当に自分で作ったのかどうかすら怪しくなって来るから恐ろしい。
刃の焼き入れがバッチリ決まっているようなので、 とりあえずそれが救いだね。 実は、ハイスはヤキがきれいに入るとあんまり錆びないんだけど、 いやー、今回の刃は凄いよ。 ステンレスかよこの鋼、というくらい錆びないぞ。
ロウづけの終った鍔。
いま、もう一回柄材の工作の段取りを考えているところ。 現にちゃんとできてるモノが手もとにある以上、 何かとにかく方法があったはずだぞ。
ここに住むのもあと1週間もないのか。実に名残惜しい。 駅前には愚民城(別名SATY)がそびえ、他には何も無いという、 ウンザリするようなところだったが、家の前の森が予想外に豊かで良かった。
自宅から見える鳥が34種あった。キビタキ、オオルリ、 ルリビタキが見られる家に住む事なんてこれから先、あるのかね。
芽吹くどんぐりと謎キノコ。
最近、スズメは来ないが シジュウカラとヤマガラが頻繁に来る。
しかし、あいかわらず白ブチ君は、やってくる。
白ブチ君。達者で暮らせよ。