ジャムと欧州金融危機 (2012/02/22)


2012/02/19

海岸というのもいいもんですな.

実際にはここから海にでかけていくことは, 今すぐは無理なわけですが, それでもここからあちこち行きたい放題なのだ, というのはいいものです.

富士山がやたらとよく見える日でした.

2012/02/20

みかんジャム. 密閉煮沸消毒したので常温保存可能.

みかん. 残りの半分も収穫した. これも全部ジャムになる予定. 重さ測ってない.

ポーランドのクラクフっていう日本でいうと京都みたいな街があって, 先の大戦(応仁の乱じゃないほう)で焼けなかったほぼ唯一の街なんだけど, 昔の大学の建物が残ってるんですよ. で, その大学ってのはあのコペルニクスの出身大学なんですよ. 地動説のコペルニクスです.

クラクフに行った当時のわしは学生で, ゼミで先生に「チミはこんな証明もまだ終わってないのかね. 一体, この一週間は何をやっとったのかね?」とか言われていたわけです. コペルニクスが居たという校舎をみながら, きっとコペルニクスもゼミで発表の順番がまわってきて, 「チミはまだ地球が回ってるとか言っとるのかね. 一週間ナニをやっとったのかね? 来週はもっとちゃんとやってくるように. 今日のゼミはこれで解散!」とか言われてたんだろうなーと勝手に思っていました.

今調べてみたらコペルニクスが地動説を発表したのは死んでからなんですね.

emacsの誘惑

emacs という鬼畜なプログラムがあって, 単にテキストを入力してセーブするというだけの機能のプログラムなのですが, 主にプログラミングをするひとびとに使われているためにlispで拡張できるという鬼畜な仕様になっています.

lisp というのはプログラミング言語なのですが処理内容を表現する文法というものが存在せず, やりたい事をそのまま直接書ける, というとわかりやすそうですが世間に間々あるように実際には必ずしもわかりやすくない処理系で, そういうシステムにこれまたありがちな事ですがうまくやると非常な力を発揮してくれます. そんなときはそのプログラムがまるで自分だけのために作られたかのような気がして気分が良いわけで, これが他のもっと便利なプログラムに移行することを妨げます.

また, lisp で拡張を書くというのはけっこう脳髄的にチャレンジングなので, これがある種のバカフィルターとして作用します. フィルターがバカを除外しているのかバカだけ残しているのか, というあたりが実際は微妙なのですが, emacs を使えるということ自体がある程度頭がよくて根性も座っているという事の証明のような気がして, これまた他のプログラムへの移行を妨げます.

というわけで, 私は今日も emacs を使い続けているわけです. はー

why greek matters ?

ギリシャの経済規模なんてたいしたことないのにヨーロッパ全体の通貨システムの安定性が根本から脅かされて, ユーロ脱退とかギリシャの主権放棄までが議論されるに至っている最近の状況はまったく理解できないので, ちょっと調べてみた.

背景として 2000年からリーマン危機までの時期に主に新興国で余剰資金が倍増した事がある. 36 兆ドルから 70 兆ドルに増大したと言われている. この資金が債券市場に流入し, 利率の高い商品をもとめてアメリカの住宅ローンやアイルランドのなどのバブルを次々と生み出しては潰した. 資金をそのように動かしたのは欧米の機関投資家と格付け業者である. 資金は利率の比較的高いいくつかの国の国債などに集中し, 国債発行の原則などをねじ曲げてバブルを起こしたあげく, バブルが崩壊した. 直近問題になっているのがギリシャ国債.

バブル崩壊後は日本で起きた事がそのまま当てはまっている. つまり景気は減速し資産価値の減損を生じたが一方, 負債は額面どおり残った. 金融商品を買う側からすると不況時は債券, などとよく言われるが, その裏返しである. こうしていわゆるバランスシート不況が発生し, 問題が深刻化し長期化している. すなわち, 景気が回復する原動力自体が障害されている状態になっている.

問題を複雑化し波及範囲を拡大させたのが CDS credit default swap という金融商品である. これは, 債券から派生する金融商品で, ある金額を払っておくと, 債務不履行の際に額面や配当が保証されるというもの. CDS を引き受ける人は買う人から報酬を受け取る一方, 債券発行者が債務を履行できなくなったときに焦げ付いた債権を額面で買い取る.

本来の趣旨からするとこれを買うのは, CDS が派生した債券の購入者だが, 事がそれに収まっていれば世の中平和だったわけで. 実際には CDS だけが単体で, 付随すべき債券とは独立に取引された. いわゆる naked CDS である. しかも, CDS の取引を監督官庁に報告する義務もなく, 取引量や市場規模を把握できなかった.

一般に, カネを借りているほうが飛ぶと, そこに貸している方もどこかに借りているから, 借りている方が大口だと焦げ付きの連鎖が起きるおそれがある. CDS は普通なら貸借関係が一つしかないところに複数の貸借関係を構成し, 大口の焦げ付きが波及する範囲を拡大する(平時はそれがリスク分散として機能する). しかも誰がどこでいくら CDS を持っているのか判らないからどこまで影響が及ぶのもがよく判らない. naked CDS の市場規模は債券市場自体よりもずっと大きく, このため危機自体への対処は言うまでもなく, 問題のサイズの把握すら難しくする. つまりギリシャ政府の債務が履行されない, というのはその経済規模から直接に類推できる規模の問題ではない, という事だ.

派生元の資産に無関係な第三者が売買する naked CDS を非難するときによく使われる比喩に「隣の家の火災保険を買っている」というものがある. 自分が債務を引き受けているわけではないので, CDS を買う事は債務不履行を願う動機になるからだ. 危機的状況にある債務者の救済に際して naked CDS の購入者は救済の足を引っ張る動きをする動機を持っていることになる(しかもその規模も数も判らない). 以上がヨーロッパ通貨危機において CDS が果たした否定的役割である.

こういう非難はあるが, CDS がリスクを分散し市場に参加する障壁を低くする仕組みである事は間違いない. CDS の持つ債券市場の流動性を改善する作用がなければ, 誰もギリシャ国債なんか買ってくれないだろう, という見方も成り立つ. 以上が危機の仕組みの分析と現状.

今後ですが, ギリシャがユーロから離脱したときのユーロ建て国債のリスク(ドラクマがユーロに対して大きく割り引かれる)をヘッヂする金融商品への要求があります. もしこれが CDS 同様に債券から独立して取引されることになると, こんどはこれがギリシャのユーロ圏離脱へのインセンティブを与えることになります. 今後はこのへんが欧州通貨危機の焦点になりそうです.

2012/02/22

咳とまらない. だから首が非常にしんどい.


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