ことよろ
SR-71みたいな飛行機は作るのも飛ばすのもものすごくカネもかかるし、運転にしくじると簡単にエンジンおかしくなるので危険だし、それに比べて最近の飛行機は安いし安全。
なんだけどあんな高さも飛べないしスピードも1/3しかない。
こうなると「進歩とは何か」みたいなところをじっくり考えないと、そもそも世の中進歩しているか、という話ができなくなってくる。
環境をまた作ったので投稿できるようになった。
時計業界には、昔から商売をしているほど偉いという序列があり、それに加えて客による序列がある。偉い客をとった屋号ほど偉いのである。
そういう序列に価値を見出すのは勝手にしたらいいが、やはり本質的なところで貢献するほど偉いし尊敬されるべきだと俺は思うんだよね。 具体的にいうと揺れる乗り物に搭載してGPSじみた事ができるぐらいの精度を出した、という業績が圧倒的に凄い。それにくらべたら「昔から王侯貴族の玩具を作ってました」なんて話をされても、どんな顔してその話をきいたらいいのかわからんよ。
必要な精度を実現する上で障害になったのは次の二つです
温度誤差は、フリコについているバネが温度によって弾性係数が変化するために、摂氏1度の変化で振り子の周期に10秒/日に相当する誤差が出てしまうというもの。温度が5度違えば一日1分の狂いにつながり、これでは到底航海には使えない。 Board of Longitude の要求はジャマイカまでの航海で56km以下の誤差であり、これを時刻に直せばおよそ2分。2ヶ月かけて航海すれば一日に許される誤差は2秒である。
フリコが摩擦で振幅が減衰していくのをゼンマイの力で補いつつ、何回振動したかを数えるカラクリが脱進機という仕組みですが、失われたエネルギーを補う瞬間以外は自由に振動させてやることができる分離脱進機はフリコの振動の恒常性、つまり精度にとって必須の仕組みである。
どちらも簡単には到底解決できなかった。特に温度誤差の解決は困難で、バイメタルでバネの有効長が変化するようにしたり、バネをつまむゲートの隙間が開閉したり、その他多様な機構が無数に発明された。
現代ではこの問題は、温度で弾性率が変化しないニッケル合金が発明されて解決されているわけだが、これは20世紀になってからの事で、当時用いられた解決ではない。当時の解決は、フリコをバイメタルで作り、温度で形状が変化することで慣性モーメントを変更し、これによってバネの弾性率の変化を打ち消す、というちょっと気が遠くなる仕組みだった。
同時に、知識と労働を集約すればどれほどの事が可能になるか、という事を人類が最初に認識した機会になったと思う。
イギリスの良い懐中時計はどれも航海時計の意匠に基づいた外観になっていて、内部の構造も航海時計を踏襲しているのだ。
大英帝国より一歩先、第二次大戦を待たずにイギリスの時計産業は滅亡し、今はその栄光を異様なサイズと重さの懐中時計が伝えている。そしてこれからも伝えていくだろう。この機械はもう100年も生きつづけていているが、あと100年ぐらい楽勝だ。
けっこうまえの話だけど落射照明につける光源を自作したよ。顕微鏡本体の電源が壊れているので、可変出力の電源を買ってきて、それをLEDにつなぎ、LEDには性能のいいヒートシンクをつけた。ファンがなくてもちゃんと冷却できるやつだ。
タマムシとカケスの羽。こういう構造色を観察しようと思ったら、選択はこれしか無いよ。
仕組みはこんなもんですわ。思いついたら自明や。