1999年の獅子座流星群


の観測ツアー報告です. 死.

またしても富士山, またしても 5合目 標高 2000m地点まで 行って来ました. 今回もかなりキました. 前回 も, 並大抵ではなかったのですが, 今回はその比じゃなかったス.

11/17 21時ころ学校を出発した. 出発するときには曇だったが, 瀬田から東名に乗り, しばらく行くと, すげえ雨が降って来た. 一瞬, 帰ろうかとおもったが, せっかく出発したので, とりあえず観測予定地点までは行くことにする.

下が曇や雨でも富士山は晴れていることも多いのだ. なんとなく, 今回も晴れているような気がするので, 突撃した. 霧が出てたりして道がわかりにくく, 間違えて行きつ戻りつしながら, 正しい道を見付けて山を登り始めたら, 間もなく雪が降って来た.

思い起こせば, さっさと諦めて帰るべきポイントが幾つかあった. 雪が降って来た時も, その一つだった. 結局道路の一番上まで登り詰めたら, そこは森林限界をちょうど出たところ, 容赦なく風雪が吹き付け, 酷寒の吹雪が轟いているのだった.

とりあえず車の外に出てみたが, 何にも見えない. たまに雲のすき間から星も見えるので, とりあえず落ち着いて腰を据えることにし, テントをはって寝袋にもぐり込んだ. そのうち晴れるかもしれないからな.

全然晴れません. それどころか, 風雪は強まる一方である. こりゃだめだ. 道路が雪に埋まったら, 途中の傾斜の強いところや急カーブは脱出できん. さっさと帰ろう, ということになったが, そのときは既に遅かった.

ものすげえ雪と風で, 風の方向を向くと雪の粒が顔に当たって痛い. 目も開けてられない. テントをたたみ, 車に乗り込み, さっさと帰るぜ, と駐車場を出ようとしたときだった.

なんか, 横から近付いて来るテールランプがある. あれ? あの車, わしらの方にバックしてくるぞ. あーぶつかるがな!おいおい! わー! どすん.

あまりに滑らかだったので, 気づかなかったのだが, 実はその車はバックしているのではなく, 単にわしらの車が横にスライドしていただけなのだった.

あーあ. さっさと帰らないとヤバいところに事故である. えらいこっちゃ, と思ってたら, もう一台が上から滑べって来た. ゴ! ゴゴッ! ビリヤード状態だ.

事故の処理に手間取っているあいだに, 降った雪が凍結し, わしらが事故った地点は 歩けないほどツルツルになってしまった.

警察にケータイで電話する. 「事故をおこしたんですけど」「ものすごい雪で, 動けません」「場所?富士山 5合目です」 ケーサツはそれを聞いて, 断固動きたくない様子であった. そりゃ当然だよな.

ようやく事故処理の段取りがついて, わしらは なんとかその状態を脱出すべく, 今更ながらタイヤチェーンを装着することにした. 歩けない程の傾斜なので, チェーンの装着も並大抵ではない. 普通にチェーンを踏んでからタイヤに巻く方法は使えないので, ジャッキアップしかない. ジャッキをさがして車内を物色するが, 見付からん.

助手席の引出しに入っている車の説明書を調べて, ジャッキの場所を さがしあてた. 幸い, タイヤチェーンは積んでいたので, ジャッキアップしてチェーンを付ける.

鎖の長さが絶妙に短く, ちっともつきません. 外はいよいよ吹雪が激しさを増し, わしはどうせ寝袋から顔だけだして星を見るつもりだったので 下界ズボンのままで, 何をボケたのかヘッデンも手袋も持って来ておらず, 標高 2000m の吹雪の中の作業は困難を極めた.

結局, 絶妙に短いのは, チェーンがよじけているのが 原因だと判ったので, そのよじけを直す. 散々苦労したが, なんとか装着だけはできた. よーし. 発進だ. さっさとこの糞いまいましい ところから脱出しようぜ!

ところが何故か, ある程度進んだら全く前進しなくなってしまった. ひたすらタイヤは空回りし, チェーンは道路と擦れて火花を散らすのみ. あまりの理不尽な現象にわしらは嫌気がさし, 18日には晴れて, 雪が融ける方に賭け, そのまま車で寝ることにした.

朝方には雪もやみ, 日の出は 6時 20分. 8時には日射しに雪も融け始め, 路面の凍結もなくなってきた. 今こそ出発の時だ!

じっくり調べてみてびっくりだ. 後輪がでかい石につっかえている. うごかねえわけだぜ. 石をどけたら, あっさり前進した.

事故地点は脱出したが, その下の道は, 陰になっていたこともあり, まだまだ雪が硬く, 身動きがとりにくい状況だった. そうこうするうちに, 静岡県 御殿場土木事務所 のトラックが 塩化カルシウムの袋を積んでやってきた. わしらも塩化カルシウムを散布する作業に大いに協力する.

塩化カルシウムを撒くと何がいいのかというと, この物質は水をひたすら吸収するという性質をもち, しかも水を吸収すると発熱するのだ. これを雪に撒けば, その水分と反応してどんどん雪を融かすことになるの である. 凍結した路面などに, 撒くと, わりと効果的なのだ.

ひとしきり塩化カルシウムを撒いた後, わしは朝飯にスパゲティを喰い, 事故った 3台の車はいっしょに御殿場ケイサツまで行き, 調書を作って, 昼飯くって帰って来たのであった. 帰って来たのは 15時 30分でした. いやあ. 疲れました. しかし, わしら, マジで何しに行ったん?